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スタークラフト年代記 第30話:ウルナーの沈黙とスレインの鎖

この物語の目次
  1. ウルナーの暗闇の中で遭遇した二人の指導者
  2. 死せる神々と崩れ去った信仰
  3. 無限の循環とアモンの恐るべき反逆
  4. 暗闇から現れたタルダリムの提案
  5. スレインの血の霧とラクシャーの規則
  6. 生贄の穴で繰り広げられた死闘
  7. 君主の没落と新たな支配者
  8. 危うい連合と迫り来る決戦
  9. 確認した資料

原作の出来事を基に新たに執筆した二次創作小説です。登場人物の感情や台詞、場面の雰囲気は再構成されており、主要な結末を含みます。

ウルナーの暗闇の中で遭遇した二人の指導者

AI再構成イラスト:戦闘後、ウルナールの暗い通路に共に立つアルタニスと原始ケリガン。
AI再構成イラスト:戦闘後、ウルナールの暗い通路に共に立つアルタニスと原始ケリガン。

アルタニスはウルナーの巨大な殿堂を歩きながら、古代ゼルナーガの痕跡を探していた。冷たい金属と見慣れぬエネルギーが流れる壁面は、創造主が残した偉大な遺産であったが、そこにはただ重苦しい沈黙だけが漂っていた。サイオニック・ブレードの青い光が暗い通路を照らすたびに、彼はこの神聖な空間がすでに不穏な気配によって深刻に汚染されていることを痛切に直感した。

通路の向こうから、不気味な破裂音と獣の咆哮が響き渡った。アルタニスが警戒を怠らずに進むと、暗闇の中から赤い光を放つザーグの群れと、原始の刃の女王ケリガンが姿を現した。ゼルースで原始ザーグの精髄を取り込み、自ら再誕を遂げた彼女は、アモンの軍勢であるハイブリッドたちと激しい死闘を繰り広げていた。創造主の故郷で軍団の主導者と遭遇することは、アルタニスにとっても全く予期せぬ出来事だった。

ケリガンは原始ザーグの強力な力が宿る鋭い爪でハイブリッドの息の根を止めると、荒い息を吐きながらアルタニスを振り返った。彼女の瞳には果てしない怒りと疲労が入り混じっており、原始の精髄が放つ強力なサイオニック・エネルギーが危うげに渦巻いていた。二人の指導者は過去の敵対心を一時的に収め、互いの目的が同じであることを本能的に悟った。アモンという巨大な敵を前にして、彼らはもはや敵同士ではなかった。

「我々は皆、答えを求めてここへ来たのだ」アルタニスが先にブレードを収め、重々しい声で口を開いた。ケリガンは顎を突き出し、アモンがすでにここを支配しており、自分一人ではこの果てしないハイブリッドの群れを突破することはできないと率直に認めた。彼女はゼルナーガの力を借りてアモンを破滅させようとしていたが、状況は予想よりもはるかに絶望的な方向へと流れていた。

二つの勢力は一時的な同盟を結び、ウルナーのさらに深い深層部へと足を進めた。プロトスの精緻なサイオニック・ストームとザーグの猛烈な爪が融合し、メビウス特戦隊とハイブリッドの防衛線を次々と引き裂いていった。アルタニスはケリガンの残酷ながらも効率的な戦闘スタイルを見つめ、生存のために進化を遂げた軍団の恐るべき威力を改めて実感しながら前進した。

巨大な敷地を越えるたびに、アモンの手下たちはさらに激しく抵抗した。空虚のエネルギーが空間を歪め、冷たい床の上へと倒れたハイブリッドたちの黒い血が川のように流れた。アルタニスはシールドでケリガンへと放たれた致命的な一撃を防ぎ、ケリガンはその隙を突いて敵の陣形を崩壊させた。言葉を交わさずに行われた連携は、二人の指導者の切迫した状況を証明していた。

ついに彼らの行く手を阻んでいた最後のハイブリッド・ネメシスが、恐ろしい悲鳴とともに床に倒れた。巨大な扉が重々しい摩擦音を立ててゆっくりと開き始め、その向こうからゼルナーガが眠っているであろう聖所の静かな光が漏れ出してきた。アルタニスは心臓が高鳴るのを感じた。ついに創造主にまみえ、アモンを止める知恵を得られるという希望が胸を熱くした。

ケリガンもまた、緊張の色を隠せない表情で聖所の内部を注視していた。彼女は軍団を救い、宇宙を圧迫する暗闇を払いのける力を切に渇望していた。二人はどちらからともなく、光が溢れ出る敷居を越えて巨大な部屋の中へと足を踏み入れた。しかし、彼らを迎えたのは荘厳な啓示ではなく、想像すらしていなかった凄惨で恐ろしい絶望の光景だった。

死せる神々と崩れ去った信仰

AI再構成イラスト:死せるゼル=ナーガの砕けた休眠カプセルの前で絶望し跪くアルタニス。
AI再構成イラスト:死せるゼル=ナーガの砕けた休眠カプセルの前で絶望し跪くアルタニス。

聖所の内部は宇宙の星々を閉じ込めたかのように巨大で神秘的な空間であったが、その中心を占めていたのは、無残に破壊された休眠装置群だった。アルタニスは信じられないというように、震える足取りで近づいた。巨大な水晶の構造物は無残に砕け散り、その中で永劫の眠りについているはずのゼルナーガたちは、引き裂かれた死体となって床に無残に転がっていた。

「創造主たちが死んでいる…」アルタニスの唇から、絶望に満ちた嘆きが漏れた。彼は膝をつき、巨大なゼルナーガの虚ろな骸に触れた。数千年の間、プロトスが崇拝し待ち望んできた神々は、すでに遥か昔にアモンの手によって虐殺されていたのだ。彼の内面から、カーラを失った時よりもさらに深く暗い喪失感が津波のように押し寄せ、魂を押し潰した。

ケリガンは怒りに身を震わせながら、破壊された休眠室の周囲を歩き回った。彼女は救済を求めてここに来たわけではなかったが、少なくともアモンに対抗するための武器や知識はあると固く信じていた。しかし、ここに残されていたのは敗北と死の悪臭だけだった。アモンはすでに遥か昔にウルナーを訪れて同族を虐殺し、宇宙の循環を自らの意のままに歪める準備を終えていたのだ。

アルタニスはうつむいたまま、過去の信仰が粉々に砕け散る苦痛を黙って耐え忍ばねばならなかった。ゼルナーガの導きを受けて偉大な救済を成し遂げるというプロトスの古き伝説は、虚しい幻想に過ぎなかった。彼らは神の加護を受ける選ばれし者たちではなく、滅び去った創造主たちの捨てられた孤児に過ぎなかったのだ。沈黙する死体は、いかなる慰めも答えも与えぬまま冷たくなっていた。

「我々は完全に孤立無援だ」アルタニスが虚ろな瞳でケリガンを見つめながら言った。彼の声には、怒りを超えた深い虚無が滲んでいた。ケリガンは冷ややかな視線でゼルナーガの残骸を見つめ、もはやこの宇宙に頼るべき場所はどこにもないことを残酷なまでに確信した。神々は死に、残されたのは、定命 of の者たちが自らの力で絶望に立ち向かわねばならないという事実だけだった。

聖所の虚空に微細なサイオニックの波動が揺らめき、死者たちが残した最後の記憶の破片がホログラムのように浮かび上がり始めた。アルタニスとケリガンは、吸い寄せられるようにその光の群れを見つめた。それは、アモンが休眠中の同族を奇襲し、無残に殺害する過去の恐ろしい幻影だった。創造主たちの声なき苦痛が二人の精神に食い込み、真実を告発していた。

幻影の中で、アモンはゼルナーガの精髄を貪欲に吸収し、自らの力を蓄えていた。彼は同族たちが守ってきた宇宙の法則を軽蔑し、すべての生命を自らの足元に屈服させようとする傲慢な野心を隠さなかった。アルタニスは拳を固く握りしめた。創造主への盲目的な信仰が消え去った場所には、この恐るべき虐殺者を必ずや審判するという、決然たる意志が芽生えていた。

ケリガンは目を閉じ、深呼吸をして激しく揺れ動く感情を抑え込んだ。彼女にはもはや失うものはなく、退く場所もなかった。アモンがゼルナーガを滅ぼしたのなら、今やあの化け物を殺せるのは我々だけだと、彼女は断固として宣言した。アルタニスはゆっくりと頷いた。ウルナーの沈黙の中で、二人の指導者は神の救済の代わりに、自らの闘争を選択した。

無限の循環とアモンの恐るべき反逆

AI再構成イラスト:無限の循環とアモンの裏切りを示すホログラムの壁画を見つめるアルタニスとケリガン。
AI再構成イラスト:無限の循環とアモンの裏切りを示すホログラムの壁画を見つめるアルタニスとケリガン。

聖所の中央祭壇から放たれた古代の光が部屋を満たし、ゼルナーガが守ろうとした「無限の循環」に関する真実をホログラムの壁画として描き出した。アルタニスは輝く粒子の中を歩きながら、その荘厳な宇宙の歴史を目に焼き付けた。「純粋なる形態」と「純粋なる精髄」が出会い、新たなゼルナーガへと生まれ変わる偉大な摂理が、燦然と再現されていた。

プロトスとザーグは、単に偶然進化を遂げた生命体ではなかった。彼らは無限の循環を完成させるために按配された、二つの核心的な潜在力だったのだ。アルタニスは、自分たちが宇宙の壮大な計画の中でいかに重要な存在であったかを悟り、畏敬の念に包まれた。しかし、その美しい循環の輪は、アモンという裏切り者によって無残に断ち切られ、汚染され、現在の悲劇を生み出した。

壁画の光が赤く染まり、アモンの反逆が描かれ始めた。アモンは生命体たちが自然に進化し、循環を繋ぐのを待つことができなかった。彼はゼルナーガの軛を憎み、宇宙を自らの姿通りに再創造するために、プロトスとザーグの進化に強制的に介入した。彼が創り出したハイブリッドは、二つの種族の結合などではなく、循環を破壊するための恐るべき怪物に過ぎなかった。

ケリガンは、アモンがザーグをどのように操作し、堕落させたかを示す幻影の前で身の毛をよだてた。オーバーマインドさえもアモンの抑圧的な意志に縛られた奴隷に過ぎず、軍団が犯した数々の虐殺の背後にはアモンの憎悪が潜んでいた。彼女は、自身が経験したすべての苦痛と堕落が、この堕落したゼルナーガの壮大な計画の中で徹底的に弄ばれた結果であったことを痛切に実感した。

アルタニスは、カーラを通じてプロトスを支配しようとしたアモンの狡猾な陰謀を思い起こし、怒りに目を輝かせた。アモンはゼルナーガの遺産を守るふりをしてプロトスを欺き、最終的には彼らを完璧な宿主として宇宙を破滅させようとしていた。創造主の真実に直面したアルタニスは、もはや過去の栄光に囚われることなく、ただ生存と自由のために戦うことを誓った。

「無限の循環は終わった」ケリガンが冷ややかな声で静寂を破った。彼女の言う通り、ゼルナーガはすべて死に絶え、循環を繋ぐ方法は永遠に失われた。今や宇宙に残されたのは、アモンがもたらす完全な終焉だけだった。しかし、アルタニスは絶望に屈しなかった。彼は、たとえ循環が破壊されたとしても、定命の者たちの意志まで挫かれたわけではないと答え、ブレードを握りしめた。

二人は、アモンの計画が単なる世界の征服ではなく、すべての生命を消し去り、空虚の静寂だけを残すことであることを明確に理解した。ハイブリッドはその終焉のための道具であり、アモンが肉体を得てこの宇宙に降臨した瞬間、すべては終わるはずだった。彼らはウルナーで得た残酷な真実を基に、アモンの軍勢を粉砕し、降臨を阻止するための戦略を構想せねばならなかった。

聖所の光が徐々に衰え、再び重苦しい暗闇が舞い降りた。アルタニスはケリガンと短い視線を交わした後、それぞれの勢力を率いてアモンの手下たちを駆逐するために引き返した。神々の墓で彼らが手にしたのは、救済の約束ではなく、自らの運命を切り拓かねばならないという責任感だった。アルタニスは固い決意を胸に、アドゥンの槍へと帰還した。

暗闇から現れたタルダリムの提案

AI再構成イラスト:アドゥンの槍のブリッジの影から現れ、アルタニスに同盟を提案するアララク。
AI再構成イラスト:アドゥンの槍のブリッジの影から現れ、アルタニスに同盟を提案するアララク。

アドゥンの槍に帰還したアルタニスは、疲労の色が濃く滲む表情で艦橋の指揮席に立った。ウルナーで目撃したゼルナーガの死は、彼の肩に重くのしかかっていた。その時、艦内のセキュリティシステムが鋭い警告音を鳴らし、未知の侵入者が発生したことを知らせた。アルタニスが防御態勢を整えると、艦橋の影の中から赤い眼光を放つプロトスが歩み出てきた。

彼は黄金艦隊のきらびやかな標準装甲の代わりに、黒く鋭利な金属板が幾重にも重なり合った不気味な形状の鎧を身にまとっていた。鎧の隙間からは、タルダリム特有の血のようなテラジン・エネルギーが脈打つように流れ、不穏な気配を放っていた。自らをアララクと名乗った彼は、「第一昇天者」という地位にふさわしい傲慢かつ鋭い態度でアルタニスを値踏みし、嘲笑を交えた挨拶を投げかけた。

アルタニスは即座にサイオニック・ブレードを展開し、侵入者の意図を問い詰めた。アララクは全く怯むことなく、むしろアルタニスの無知をあざ笑い、アモンがタルダリムをも裏切ったことを暴露した。アモンにはタルダリムを救済して昇天させる気など毛頭なく、ただハイブリッドを創り出すための道具、あるいは消耗品として扱っているに過ぎないというのが、アララクが突き止めた恐るべき真実だった。

アララクは、君主マラシュがアモンの嘘を知りながらも同族を死地へと追いやっていることに怒りを表明した。彼はマラシュを権座から引きずり下ろし、自分がタルダリムの支配者となるためにアルタニスの力が必要だと堂々と要求した。アルタニスは、敵の首領となるべき者の突然の提案に疑念を抱いたが、アララクの瞳に宿る復讐心だけは本物であると直感した。

タルダリムは長きにわたりデーラームの敵であり、その残酷さは宇宙全域に悪名を轟かせていた。アルタニスはアララクの狡猾な舌を信用することはできないと警告し、彼を圧迫した。しかしアララクは、デーラームが現在アモンの圧倒的な軍勢を前にしていかに無力であるかを正確に指摘し、自身の提案を拒絶するならばアルタニスもまた空虚の灰と化すだけだと、冷酷かつ鋭く言い返した。

アララクは、自分がマラシュを倒して君主となれば、タルダリムの「死の艦隊」をアモンとの戦争においてデーラームの側に立たせると、破格の条件を提示した。それはアルタニスにとって、あまりにも魅力的で切実な提案だった。アモンの勢力を分裂させ、強力な艦隊を手に入れることができれば、ウルナーで感じた絶望的な戦力差を一気に覆す好機となるからだ。

アルタニスはしばし沈黙し、この危険な賭けの得失を素早く計算した。アララクは信頼に値しない者だったが、アモンに対する彼の憎悪だけはデーラームと完全に一致していた。「敵の敵は味方」という冷徹な現実を前に、アルタニスはついにブレードを収め、アララクの提案を条件付きで受け入れた。その代わり、彼はデーラームの戦士たちを粗末に扱うなと厳重に警告した。

アララクは満足げな笑みを浮かべ、アルタニスの決定を歓迎した。彼は遅滞なくスレインへ向かうべきだと促し、タルダリムの支配権を奪うための古代の儀式について説明し始めた。アルタニスは、この危険な同盟がデーラームを破滅へと導かないことを心の中で祈りつつ、アドゥンの槍の航路を、濃いテラジンの霧に包まれたタルダリムの母星スレインへと変更した。

スレインの血の霧とラクシャーの規則

AI再構築イラスト: ラクシールの儀式を前に、スレインの深紅のテラジンの霧の中に立つアララクとアルタニス。
AI再構築イラスト: ラクシールの儀式を前に、スレインの深紅のテラジンの霧の中に立つアララクとアルタニス。

アドゥンの槍がスレインの軌道に入ると、黒ずんだ赤い雲と絶え間なく立ち上るテラジン・ガスが惑星全体を陰鬱に覆っている光景がスクリーンに映し出された。アララクは艦橋の観測窓の向こうに広がる故郷を見下ろしながら、タルダリム社会を支える絶対的な規律である「昇天の鎖」について説明した。それはただ力と服従、そして無慈悲な裏切りだけが許される恐るべき階級制度だった。

昇天の鎖において、上位者の命令は絶対であり、下位者は命を捧げてこれに服従せねばならなかった。しかし、ただ一つだけ、合法的に上位者を殺害してその地位を簒奪する方法が存在した。それこそが「ラクシャー」と呼ばれる古代の決闘儀式だった。アララクは、自分が君主マラシュにラクシャーを挑むつもりであり、この勝敗はひとえにアルタニスの支援にかかっていると強調した。

ラクシャーは単なる武力対決ではなかった。決闘を行う二人の当事者は、互いに向かって絶えずサイオニック・エネルギーを押し出し合い、支持者たちは自らの力を主君に注ぎ込んでその押し合いに加勢せねばならなかった。アララクは、マラシュがすでに数多くの狂信者やアモンのハイブリッドたちを支持者として引き入れていることを明かし、デーラームの軍勢がなければ自分が押し戻されて死ぬことになると断言した。

アルタニスは、同族を踏み台にしてのし上がるタルダリムの残酷な文化に深い嫌悪感を抱いた。カーラの調和と絆を重視してきたデーラームの価値観からは、到底理解しがたい野蛮な軛だった。しかし、彼はそれを表に出さず、アララクの説明に耳を傾け、ラクシャーの戦場である「生贄の穴」の周辺地形とマラシュの兵力配置状況を綿密かつ冷静に分析していった。

アララクは、ラクシャーが進行している間、決闘の当事者たちは互いを攻撃することにすべての精神を集中せねばならないため、無防備な状態になると説明した。したがって、デーラームの軍勢はマラシュの支持者たちを排除し、アララクの周囲に留まって絶えずエネルギーを供給しなければならなかった。もしアララクが力負けして穴の縁へと落とされれば、それで同盟は終わり、死だけが残る。

戦士たちの命を単なる決闘の道具として扱うことにアルタニスは憤りを感じたが、アモンを打ち破るためには、この非情な儀式に加担せねばならなかった。彼はデーラームの指揮官たちにラクシャーの規則を通達し、スレインの荒涼とした地表へと降下する準備を急いだ。アドゥンの槍の内部では、タルダリムの内戦に介入することへの不満が交錯したが、誰もが大義のために武器を手にした。

スレインの地表は呼吸すら困難な濃いテラジンの霧に満ちており、不気味な生物たちの咆哮が響き渡っていた。アララクは自らの血塗られたブレードを抜き放ち、生贄の穴に向かって迷いなく歩いて行った。彼の背後からは、アルタニス率いるデーラームの精鋭部隊が強固な陣形を整えて従った。やがて遥か彼方から、マラシュの巨大な姿と、彼を護衛するハイブリッドたちが姿を現した。

マラシュはアララクの逆反をあざ笑い、アモンの名において彼を処断すると宣言した。アララクも負けじとマラシュの愚かさとアモンの欺瞞を嘲笑し、猛烈な殺気を放った。二人のタルダリムの指導者が穴の中央で激突した瞬間、巨大なサイオニック・ストームが吹き荒れ、スレインの大地を揺るがした。ついにタルダリムの運命を決する、血生臭いラクシャーが始まった。

生贄の穴で繰り広げられた死闘

AI再構成挿絵 — スレインのラクシャーの儀式でマラシュと対峙するアララク。
AI再構成挿絵 — スレインのラクシャーの儀式でマラシュと対峙するアララク。

アララクとマラシュのサイオニック・エネルギーが衝突すると、目を開けていられないほど強烈な赤い稲妻が四方に走った。二つの存在は互いの精神を圧迫し合い、一歩も譲らない拮抗した力比べに突入した。アルタニスは即座にデーラームの戦士たちに進撃命令を下した。プロトスの青い剣光がテラジンの霧を切り裂き、マラシュを支援するために押し寄せる狂信者たちに向かって殺到した。

マラシュの背後からは、アモンが授けた巨大なハイブリッドたちが不気味な咆哮を上げながら戦場へと乱入してきた。ハイブリッドたちが放つ破壊的な空虚のエネルギーは、デーラームの防衛線を瞬く間に脅かした。アルタニスは自ら前方へと躍り出て、シールドでハイブリッドの一撃を防ぎ、隙を狙ってサイオニック・ブレードを敵の胸甲深くへと突き刺した。戦場はデーラーム、ハイブリッド、タルダリムが入り乱れる混沌の渦と化した。

アララクはマラシュの強力な圧力に押され、少しずつ後退していた。マラシュにエネルギーを供給するハイブリッドたちの力が、あまりにも強大だったからだ。アララクが苦痛の呻き声を上げながらアルタニスにさらなる支援を求めると、アルタニスは動力機を前線に配置し、ハイ・テンプラーたちのサイオニック・ストームを敵陣の真ん中へと浴びせかけ、マラシュの支持者たちを灰燼に帰した。

デーラームの軍勢がアララクの周囲に集まり、結集されたエネルギーを注ぎ込むと、アララクを包んでいた赤いオーラが爆発的に膨張した。力を得たアララクは狂気に満ちた笑い声を上げ、マラシュに向かってエネルギーを猛烈に押し戻した。戦況は逆転し、マラシュの巨体は生贄の穴に向かって無様に押し戻され始めた。デーラームの組織的な支援が、ラクシャーの均衡を崩したのだ。

しかし、マラシュもただ黙ってやられるわけではなかった。彼はアモンに向かって狂気じみた祈りを捧げ、スレイン全域に分散していた死の艦隊の兵力を追加で召喚した。空から無数の次元分光器が降り注ぎ、新たな兵力を戦場へと投入した。アルタニスは果てしなく押し寄せる敵の規模に舌を巻き、アドゥンの槍に軌道爆撃を指示して増援を遮断した。

テラジン・ガスがもたらす幻覚作用は、デーラームの戦士たちの精神を惑わせ、戦闘の疲労を倍増させた。アルタニスは戦士たちの士気が挫けぬよう絶えず鼓舞し、戦線を維持した。彼は、アララクが敗北すればこの惑星から生きて帰ることはできないという事実を、誰よりもよく理解していた。狂熱者たちは身を挺してハイブリッドを阻み、追跡者たちは精密な点滅で敵の後方を撹乱した。

激しい攻防戦の中で、アララクとマラシュは穴の中央を行き来しながら、凄絶な綱引きを続けた。アララクの血塗られた鎧は、過負荷となったエネルギーによって破裂しそうなほど赤く熱を帯び、彼の眼光はマラシュを引き裂いて殺そうとする狂気に満ちた殺意でぎらついていた。アルタニスはその恐るべき執念を見つめ、タルダリムのやり方がいかに破壊的で残酷であるかを、改めて痛切に実感した。

戦闘が絶頂に達すると、アルタニスはすべての兵力をアララクの半径内へと結集させる勝負に出た。防衛線を狭め、ただ押し出すことだけにエネルギーを集中させる危険な戦術だった。デーラームの結束した力が滝のようにアララクへと流れ込み、その圧倒的なエネルギーを吸収したアララクは、最後の一撃を準備しながら、マラシュに向かって無慈悲な力の波動を放出し始めた。

君主の没落と新たな支配者

AI再構成イラスト:マラーシュが穴に落ちる中、自らをタルダリムの新たな高階君主と宣言するアララク。
AI再構成イラスト:マラーシュが穴に落ちる中、自らをタルダリムの新たな高階君主と宣言するアララク。

デーラームの莫大なエネルギーを背負ったアララクの赤い波動が、巨大な津波のようにマラシュを襲った。マラシュは動揺を隠せず必死に抵抗したが、彼を支援していたハイブリッドや狂信者たちは、すでにデーラームの猛攻によって一掃された後だった。力の均衡は完全に崩れ、マラシュの足取りは生贄の穴の遥かなる崖の縁へと、なす術もなく押し戻されていった。

「アモンよ、私を見捨てるのですか!」マラシュが虚空に向かって絶叫し、最後の救済を哀願した。しかし、黒く染まったスレインの空は、何の答えも返さなかった。アモンにとってタルダリムは単なる消耗品に過ぎず、敗北した手下に施す慈悲など存在しなかったのだ。その残酷な真実を悟ったマラシュの瞳に、初めて抑えきれない恐怖と絶望が濃く浮かび上がった。

「お前の神はお前を見捨てたのだ、マラシュ。お前が我ら同族を欺いたようにな!」アララクの嘲笑を孕んだ声は、スレインの大地に響き渡り、すべてのタルダリムの耳に突き刺さった。彼は慈悲を乞うマラシュの悲惨な姿を心ゆくまであざ笑い、崖の縁へと彼を無慈悲に追い詰めた。昇天の鎖の頂点に立つ自らの圧倒的な権威を、戦場全体に誇示する瞬間だった。

アルタニスは息を呑み、その残酷な処刑の瞬間を見守った。アララクは手を掲げて最後のサイオニック・エネルギーを凝縮させると、容赦のない一撃でマラシュの胸部を強打した。マラシュの巨大な肉体が宙に浮き上がり、恐ろしい断末魔とともに、底の知れない生贄の穴の底へと永遠に落下していいった。ラクシャーは、ついにアララクの完全な勝利で幕を閉じた。

マラシュの死が確認されると、戦場に残っていたすべてのタルダリム兵力の動きが一斉に止まった。血の霧が晴れ、重苦しい静寂が流れる中、アララクが穴の縁に立って両腕を広げた。「私はアララクだ!これより、私がタルダリムの新たな君主である!」彼の確信に満ちた宣言が響き渡ると、鎖に縛られたすべてのタルダリムが本能的に武器を収め、膝を屈した。

それはデーラームの常識では到底理解できない、不気味で身の毛もよだつ光景だった。つい先ほどまで互いの命を狙って血を流し合っていた者たちが、ただ力の論理一つで、新たな支配者に対して絶対的な服従を誓っていた。アルタニスは、タルダリム社会を支配する恐怖と盲従の鎖がいかに深く強固であるかを目撃し、この危険な同盟がもたらす波紋を慎重に推し量った。

アララクはひれ伏す同族たちを傲慢に見下ろし、アモンへの復讐を宣言した。彼はアモンがタルダリムを騙し、昇天の約束が偽りであったことを暴露し、これより死の艦隊は偽りの神を引き裂くために動くと宣布した。君主の命令はすなわちタルダリムの法であり、狂信者たちは新たな主君の意志に従ってアモンへの憎悪を燃やし、狂気に満ちた歓声を上げた。

アルタニスはブレードを収め、アララクへと近づいた。血生臭い儀式は終わり、今や約束を履行する時だった。アララクはアルタニスの方を向き、満足げな笑みを浮かべて見せた。デーラームの支援がなければ不可能だった勝利であることを認めつつも、彼は特有の傲慢な態度を崩さなかった。二人の指導者は短い黙礼を交わし、血で結ばれた危うい同盟の始まりを告げた。

危うい連合と迫り来る決戦

AI再構成イラスト:アドゥンの槍のブリッジからデス・フリートを観測するアルタニスとアララク。
AI再構成イラスト:アドゥンの槍のブリッジからデス・フリートを観測するアルタニスとアララク。

アドゥンの槍に帰還したアルタニスとアララクは、艦橋の戦略会議室で対峙した。タルダリムの新たな君主となったアララクは、相変わらずその不気味で尖った鎧を身にまとったまま、デーラームの技術力を興味深そうに見回していた。アルタニスは彼に、約束通り死の艦隊がデーラームの指揮に従うのかを単刀直入に尋ねた。アララクは鼻で笑い、自身の条件付き同盟を再確認した。

「私の艦隊は、アモンを破滅させるその瞬間までのみ、お前たちと共にある」アララクの条件は明確だった。彼はデーラームの大義やカーラの価値観には微塵も関心がなく、ただ自分を欺いたアモンに血の復讐を果たすことだけが唯一の目的だった。アルタニスは彼の不純な意図を警戒しつつも、今すぐアモンの強大な軍勢に立ち向かうためには、この戦力が切実に必要であることを認めた。

これにより、アルタニスはザーグの軍団に続き、タルダリムという最も異質で危険な勢力までをも同盟に引き入れることとなった。過去であれば想像すらできなかった歪な連合軍だった。彼は艦橋のホログラム投影機を通じて、スレインの軌道に集結する巨大な死の艦隊を見つめながら、この壊れやすい連合がアモンを打ち破るまで無事に維持できるのか、深い苦悩に沈んだ。

ウルナーで確認したように、アモンはすでにゼルナーガを皆殺しにし、宇宙の循環を破壊した圧倒的な存在だった。彼の肉体が完成し、この宇宙に完全に降臨すれば、デーラームとタルダリム、ザーグがすべて力を合わせたとしても、勝利を確信することはできなかった。アルタニスはアララクに、アモンの最終的な死はまだ成し遂げられておらず、真の戦争はこれから始まるのだという事実を重々しく思い知らせた。

アララクはアルタニスの懸念をあざ笑い、アモンが降臨しようがしまいが、自らの血塗られたブレードであの器を切り裂いてみせると豪語した。彼の盲目的な復讐心は時に危険に見えたが、逆説的にアモンに対する最も強力で揺るぎない武器になり得た。アルタニスはアララクの傲慢さを指摘する代わりに、彼の闘志をデーラームの戦略にいかに効率よく組み込むかを模索した。

艦橋の窓の外には、果てしない宇宙の暗闇が広がっていた。アルタニスはウルナーの虚ろな聖所で感じた絶望と、スレインの血生臭い戦場で目撃した狂気を次々と呼び起こした。神々は死に、同族は堕落し、宇宙は滅亡の危機に瀕していた。しかし、これらすべての絶望の中でも、定命の者たちは生存のために抗い、奇跡のように一つの旗の下へと集まりつつあった。

「我々はもはや、神の救済を待ち望みはしない」アルタニスは心の中で強く誓い、拳を握りしめた。彼が率いるデーラームは、もはや過去の栄光にすがる脆弱な存在ではなかった。彼らは自らの運命を切り拓き、アモンという巨大な闇に立ち向かって、宇宙の新たな夜明けを切り開く準備ができていた。アララクもまた、アルタニスの決然とした意志を感じ取り、興味深そうな笑みを浮かべた。

アルタニスは通信チャンネルを開き、全艦隊に出航準備を命じた。タルダリムの死の艦隊がアドゥンの槍の両側面を護衛し、巨大な陣形を整えた。アモンを空虚へと永遠に追放するための長く険しい旅路は、未だ終わりが見えなかったが、アルタニスの胸にはかつてないほど熱い希望の炎が燃え上がっていた。巨大な方舟が眩い跳躍の光を放ちながら、前進を開始した。

確認した資料

ブリザード公式スタークラフト年代記

スタークラフト2公式キャンペーン紹介

開発陣設定Q&A:人物と戦争の繋がり

アララク短編の公式設定紹介

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