スタークラフト年代記 第10話:ガントリサーの最後の航路
この物語の目次
原作の出来事をもとに新たに書き下ろしたファンフィクションです。登場人物の感情や台詞、場面の雰囲気は再構成されており、主要な結末を含みます。
アイアーへの帰還と大議会の盲信

タサダールの艦隊がアイアーの軌道に進入したとき、故郷の惑星はすでに赤い粘液と灰褐色の胞子に覆われ、喘いでいた。かつて輝かしかった黄金の森は灰の山と化し、パイロン(水晶塔)は不気味な触手に巻きつかれたまま崩れ落ちていた。ゼラトゥルとダークテンプラー(暗黒騎士団)を伴って帰還したタサダールは、その凄惨な光景に深い嘆息を漏らし、艦橋の観測窓から目を離すことができなかった。
しかし、彼らを迎えたのはザーグの群れだけではなかった。大議会の審判官アルダリス率いる大規模な艦隊がガントリサーの行く手を阻み、通信を接続してきた。アルダリスのホログラムは怒りで歪んでおり、その声には冷ややかな軽蔑が満ちていた。審判官は、タサダールが異端者たちと結託して神聖なるカラの律法を汚したと主張し、即座の武装解除を要求した。
タサダールは揺るぎない眼差しでアルダリスを見据え、今は同胞同士で血を流し合うときではなく、オーバーマインド(超越体)という真の敵に向かって力を合わせるときだと訴えた。ダークテンプラーの虚空(ヴォイド)の力だけがセレブレイト(精神体)を永久に消滅させられるという事実を繰り返し説明したが、大議会の盲目的な傲慢さは目の前の真実を受け入れようとはしなかった。
アルダリスはゼラトゥルとその同胞たちを「堕落した者たち」と呼び、彼らの存在自体がアイアーに対する冒涜であると宣言した。彼は執行官にタサダールを逮捕するよう命じ、従わない場合は反逆とみなして処断すると脅迫した。艦橋に流れる沈黙の中、カライ・プロトスたちの間に漂う張り詰めた緊張感は、今にも切れそうなほど危うかった。
ゼラトゥルは暗闇から静かに歩み出て、タサダールの傍らに立った。彼の古びたマントが微かに揺れ、覆われた顔の奥で深い悲しみと決然とした意志が交錯していた。ゼラトゥルは、故郷でさえ歓迎されない己の境遇よりも、迫り来る破滅を前にしても我執を捨てられない大議会の愚かさをひどく憂い、静かに武器を握りしめた。
タサダールは同胞を救うためなら、異端という汚名さえ喜んで背負う覚悟ができていた。彼は審判官の脅迫に屈することなく、ガントリサーの動力源を最大出力まで引き上げ、シールドを展開した。武器を収めよというアルダリスの最後の警告が通信網に響き渡ったが、タサダールはただオーバーマインドを破壊するという固い意志を胸に、艦隊を前進させた。
大議会の艦船から一斉にフェイズ・ディスラプター(位相分裂器)がチャージされ、青い光が閃いた。故郷を守るために造られた兵器が、今や故郷を救おうとする英雄に向けられていた。タサダールは目を閉じ、カラの精神ネットワークを通じて自らに従う戦士たちに心を伝えた。それは、決して同胞に対して先に攻撃はしないという、慈悲深くも悲しい誓いだった。
ザーグの軍団がアイアーの心臓部を食い荒らしていく最中、プロトスは自らの分裂によって最も痛ましい内戦の幕を開けようとしていた。軌道から放たれる光線がガントリサーのシールドに衝突して火花を散らし、タサダールは惨憺たる思いで同胞の浴びせる激しい砲火を黙々と耐え忍びながら、防衛線を突破してアイアーの地表へと降下を開始した。
戦友を見捨てない者たちの抵抗

アイアーの地表に橋頭堡を築いたタサダールの部隊の前には、大議会の地上軍が巨大な陣形を整えて立ちはだかっていた。ドラグーン(勇気兵)の冷たい金属の胴体に移植されたフェニックスは、その機械の足を大地に力強く踏み締め、かつて戦友だった者たちが自分たちに向けてフォトキャノン(光子砲)を構えるという惨憺たる現実に直面していた。彼の脳裏には、名誉ある戦闘の代わりに、同族相食む悲劇の影だけがよぎっていた。
フェニックスの傍らには、ジム・レイナー率いるテランのレイナー遊撃隊が砂煙を巻き上げながら整列していた。ヴァルチャーの操縦桿を握りしめたレイナーは、ヘルメット越しにプロトス軍の対峙状況を見つめ、苦笑いを浮かべた。彼は、アークチュラス・メンスクがタルソニスでサラ・ケリガンをザーグの群れの中に無残に見捨てて去ったあの恐ろしい裏切りを思い出し、権力者たちの盲目的な我執と非情さは宇宙のどの種族も同じようなものだと、心の中で苦々しく呟いた。
アルダリスの伝令が近づき、フェニックスとレイナーに武器を捨ててタサダールを引き渡すよう要求した。フェニックスはドラグーンの拡声器を通じて、怒りに満ちた機械音を響かせた。彼は、大議会が真の敵を放置したまま忠実な騎士団を弾圧していると非難し、自分は決して戦友を裏切るという不名誉な真似はしないと断固として宣言し、砲身を持ち上げた。
レイナーもまた、ヴァルチャーのエンジンを荒々しく吹かしながら伝令に向けて銃口を向けた。彼は、見知らぬ異星の地まで自分たちを導いてくれたタサダールの揺るぎない信義を決して忘れていなかった。人間の基準から見ても大議会の行動は狂気の沙汰であり、レイナーは仲間を見捨てて逃げ出す卑怯者になるくらいなら、いっそこの見知らぬ異星の地で骨を埋める覚悟だった。
大議会のジロット(狂熱者)たちがサイオニック・ブレードを起動させて突撃態勢を整えると、フェニックスのドラグーン部隊も反物質弾を装填して戦闘準備を整えた。レイナーのマリーン(海兵)たちは緊張した息を吐きながらガウス・ライフルの安全装置を解除し、シージ・タンク(攻城戦車)は轟音を立てて砲身を固定した。種族を超えた連合軍は、ただ互いへの信頼だけを胸に結束し、戦線を形成した。
遥か彼方からザーグの恐ろしい咆哮が木霊しながら迫っていたが、大議会の軍勢は目の前の異端者たちを処罰することだけに血眼になっていた。フェニックスは、同胞に向けて発砲しなければならない騎士団の宿命に深い懐疑を抱いたが、故郷を救うためにはこの愚かな障壁を必ず打ち砕かねばならないという事実を痛感し、心を決めた。
レイナーは通信機を入れ、部下たちに短く力強い命令を下した。相手がたとえプロトスの正規軍であっても、自分たちの命を脅かすなら躊躇なく引き金を引けという指示だった。テランの遊撃隊は、異星人の戦闘に巻き込まれたにもかかわらず、レイナーとタサダールが示した崇高な大義のために、喜んで命を懸けて戦う準備ができていた。
ついに大議会の先鋒が雄叫びを上げて突撃を開始し、フェニックスのドラグーンが一斉に青いエネルギー弾を放って応戦した。レイナーのヴァルチャーが素早く側面に入り込んでスパイダーマイン(蜘蛛地雷)を埋設する中、アイアーの赤い大地の上には、真の敵ではなく兄弟たちの血が飛び散り始めた。避けることのできない悲劇的な内戦の火蓋が切られたのだ。
流血を止めるためのタサダールの投降

戦闘が激化するにつれ、アイアーの大地はプロトスの戦士たちの青い血で染まっていった。ジロットのサイオニック・ブレードが互いの甲冑を貫き、ドラグーンの砲火が兄弟たちのシールドを粉々に砕く光景は、まさに地獄絵図だった。ガントリサーからこの惨状を見つめていたタサダールは、胸が張り裂けるような苦痛に襲われ、両目を固く閉じて拳を握りしめた。
故郷をザーグの魔の手から救い出すという彼の崇高な意志は、かえって同胞を破滅へと追いやる道具と化していた。タサダールは、カラを通じて伝わってくる騎士団員たちの断末魔と混乱した感情を全身で受け止め、この無意味な殺戮が続けば、オーバーマインドと戦う前にプロトス自身が滅亡してしまうことを直感し、決断を急いだ。
彼は行動を起こさねばならなかった。己の名誉や命など、アイアーの存続に比べれば塵のように軽いものだった。タサダールは通信網を開き、フェニックスとレイナー、そして戦場のすべての兵力に向けて即座の攻撃中止を命じた。彼の声は深い悲しみに沈んでいたが、かつてないほど断固として揺るぎない威厳を湛え、戦場に響き渡った。
大議会の軍勢と味方の双方が困惑して戦闘を止める中、タサダールはただ一人、戦場の中央へと歩み出た。彼はサイオニック・エネルギーを収め、両腕を広げて自らが非武装状態であることを示した。フェニックスは慌てて通信を送り、彼の行動を制止しようとしたが、タサダールは同胞の血をこれ以上流させるわけにはいかないという意志を明確に伝え、歩みを止めなかった。
アルダリス率いる審判官の一団が、冷ややかな視線でタサダールを取り囲んだ。タサダールは毅然と頭を上げ、自分は大議会の判決に素直に従うので、これ以上の内戦を止め、ザーグに立ち向かってほしいと懇願した。彼は、己の投降が盲目的な服従ではなく、分裂した種族を一つに束ねるための最後の犠牲であることを心に刻み、揺るぎなく立ち尽くしていた。
審判官たちはタサダールの身を拘束し、彼を静止場監獄へと連行するために縛り上げた。レイナーは怒りを抑えきれず、今すぐにでも救出部隊を投入しようとしたが、フェニックスが機械の腕を伸ばして彼の前を遮った。タサダールの犠牲を無駄にしないためには、今は沸き立つ怒りを抑えて時を待つべきだという、無言の説得だった。
タサダールが大議会の護送船に乗り込む瞬間、戦場には重苦しい静寂が降り降りた。彼に従っていた騎士団員たちは武器を置いて悲しみに沈み、大議会の兵士たちでさえ、自分たちが捕らえた英雄の後姿に言い知れぬ恥ずかしさを感じていた。タサダールは最後に仲間たちへ視線を送り、決して希望を捨てるなという無言のメッセージを残した。
護送船が空へと舞い上がり、大議会の要塞へと消えていくと、フェニックスとレイナーは固く結んだ唇を噛み締め、部隊の撤退を命じた。指揮官を失い、散り散りになる危機に瀕していたものの、彼らの胸の中には、大議会の抑圧に屈しないという新たな火花が燃え上がっていた。タサダールの投降は終わりではなく、真の反撃の開始を告げる号砲だった。
闇の中の救出作戦と結束

大議会の鉄壁の監視の下、タサダールは冷たいステイシス・セルに閉じ込められ、処刑を待つばかりとなっていた。しかし、フェニックスとレイナーは決して彼を諦めなかった。闇が深く立ち込めるアイアーの夜、遊撃隊と忠実な騎士団の兵力は、ステイシス・セルを取り囲む大議会の防衛線を突破するため、隠密かつ迅速に奇襲作戦を開始し、要塞へと接近した。
レイナーのシージ・タンクが外郭のフォトキャノンを一撃で粉砕し、突破口を開いた。フェニックス率いるジロットたちがその隙を突いて要塞内部へと突入し、大議会の衛兵たちは予想だにしない強力な反撃に慌てふためき、陣形を乱した。テランの火力とプロトスの機動力が融合した完璧な協同攻撃は、大議会の傲慢な防衛システムを無力化するのに十分だった。
しかし、アルダリスも容易な相手ではなかった。監獄の深部へと進入しようとする救出部隊の前に、大規模なハイ・テンプラー(高位騎士)とアーコン(執政官)たちが立ちはだかった。圧倒的なサイオニック・エネルギーが空間を歪め、連合軍の足を止め、フェニックスとレイナーは四方から降り注ぐサイオニック・ストーム(稲妻の嵐)の中で次第に劣勢に追い込まれていった。作戦が失敗に終わるかと思われた、絶望的な瞬間だった。
まさにその時、要塞の濃い影の中から冷ややかな虚空(ヴォイド)の気配が立ち上った。空間が裂けるような音とともに、ゼラトゥルとダークテンプラーたちが姿を現した。彼らの冷たいワープ・ブレード(変形次元剣)が虚空を切り裂くと、大議会の衛兵たちは悲鳴を上げる間もなく倒れていった。闇の兄弟たちはまるで幽霊のように戦場を駆け巡り、連合軍の退路を開き、敵の息の根を止めた。
アルダリスは驚愕を禁じ得なかった。自分がそれほど嫌悪し、追放した異端者たちがアイアーの心臓部に現れ、自分たちの兵力を蹂躙していたからだ。審判官は怒りに震えて攻撃を命じたが、ゼラトゥルは瞬時にアルダリスの背後に回り込み、冷たい刃をその首筋に突きつけた。戦場のすべての動きが、一瞬にして凍りついたように静止した。
ゼラトゥルは低く深い声で、アルダリスの盲目的な傲慢さを叱責した。彼は、ダークテンプラーが故郷から追放されたにもかかわらず、ただの一度もアイアーを忘れたことはなく、ただオーバーマインドを破滅させるために戻ってきたのだと宣言した。アルダリスは屈辱に身を震わせたが、ゼラトゥルの刃から放たれる圧倒的な殺気を前に、口を閉ざすしかなかった。
その間にフェニックスとレイナーはステイシス・セルの制御装置を破壊し、タサダールを解放した。足枷から解き放たれたタサダールは、よろめきながらもゼラトゥルと仲間たちに深い感謝の意を表した。カライとネラジム、およびテランという異質な存在が、ただ一つの目的のために固く結束する瞬間だった。プロトスの長きにわたる分裂が、ついに終わりを告げようとしていた。
アルダリスは敗北を認めて兵を引き揚げたが、その眼差しには依然として深い疑念が残っていた。タサダールは審判官を傷つけることなく帰し、今こそ真に故郷のために戦うべき時であることを改めて強調した。監獄を脱出した連合軍は、アイアーの空を覆い尽くすザーグの群れを見上げ、最後の決戦に向けた重い決意を固めた。
アイアーの心臓部への進撃

タサダールが救出されると、散り散りになっていたプロトスの兵力がガントリサーの旗の下に再び集結した。彼らの目標はただ一つ、アイアーの中心部に巣食うザーグの絶対君主、オーバーマインドだった。大地は数百万匹のザーグの群れが放つ悪臭と胞子で息をすることさえ困難だったが、連合軍の士気はかつてないほど高く燃え上がっていた。
レイナーのハイペリオンを筆頭とするテランのバトルクルーザー(戦闘巡洋艦)が、軌道から強力なヤマト・ガン(ヤマト砲)を浴びせて進撃路を切り開いた。赤く燃え盛る軌道爆撃がザーグのハイブ(軍落)を灰にすると、フェニックス率いる地上軍が雄叫びを上げてその隙間に突入した。ジロットのサイオニック・ブレードがザーグリンの群れを斬り伏せ、ドラグーンの砲火がヒドラリスクたちを切り裂いた。
オーバーマインドを保護する防衛線は、想像を絶するほど強固だった。巨大な触手が地を突き破ってそびえ立ち、プロトスの飛行艇を叩き落とし、空を覆うミュータリスクの群れはまるで暗雲のように太陽を遮った。しかし、ゼラトゥルとダークテンプラーたちは混乱する戦場に乗じて影へと溶け込み、セレブレイトを一人ずつ暗殺してザーグの指揮系統を徐々に崩壊させていった。
タサダールはガントリサーの艦橋から戦況をコントロールし、カラの精神ネットワークを通じて戦士たちに絶えず勇気を吹き込んだ。彼は、同胞たちが恐怖を払いのけ、一つになった心で戦う姿を見て、胸が熱くなるほどの感動を覚えた。テランの猛烈な火力支援とダークテンプラーの致命的な一撃が融合し、難攻不落と思われたザーグの防衛線が、ついに崩れ始めた。
戦闘が絶頂に達するにつれ、アイアーの大地は血と粘液の川と化した。フェニックスは先鋒に立ち、絶え間なく押し寄せるウルトラリスクの突撃を全身で受け止めながら、地上軍の防衛線を死守した。レイナーもまた、絶え間なくヴァルチャーを駆って戦場の隙間を駆け巡り、危機に瀕したプロトスの戦士たちを救出し、種族を超えた真の戦友愛を黙々と証明してみせた。
ついに連合軍は、オーバーマインドが鎮座する巨大なクレーターの縁に到達した。不気味に脈打つ巨大な肉塊は、アイアーの地殻深くに根を下ろしたまま、絶えずサイオニック波動を放ち、周囲のすべてを堕落させていた。その圧倒的で不吉な存在感を前に、一部の戦士たちは息を荒くし、本能的な恐怖に囚われて武器を握る手を震わせた。
しかし、タサダールは躊躇することなくガントリサーをオーバーマインドの上空へと前進させた。彼はゼラトゥルがセレブレイトを仕留めた方法を思い出し、オーバーマインドの外殻を破壊するために艦隊の全火力を集中するよう命じた。キャリア(宇宙母艦)のインターセプター(迎撃機)が蜂の群れのように飛び出してオーバーマインドのシールドを叩き、テランの艦隊も一斉にミサイルを浴びせて総攻勢をかけた。
猛烈な砲撃の中で、オーバーマインドの巨大な外皮がついに裂け、恐ろしい悲鳴を上げた。しかし、傷口は瞬時に再生され、オーバーマインドの心臓部から放たれる闇のエネルギーは連合軍の艦船を弾き飛ばし、強力な抵抗を続けた。通常の兵器ではこの恐るべき怪物を完全に破壊することはできないという絶望的な真実が、戦場の全員に重くのしかかり始めた。
光と闇を抱いた最後の選択

ガントリサーの艦橋は、赤い警告灯と破裂音で満たされていた。オーバーマインドの反撃によって艦船の装甲板が引き裂かれ、動力系が限界に達して悲鳴を上げていた。タサダールは操縦席に毅然と立ち、絶え間なく再生されるオーバーマインドの不気味な傷口を凝視した。このまま戦闘が続けば、連合軍は最終的にザーグの物量の前に全滅することは火を見るより明らかだった。
彼はゼラトゥルが教えてくれた深遠な真理を思い出した。ダークテンプラーの虚空の力だけが、ザーグの根源的なエネルギーを消滅させることができるという事実を。しかし、オーバーマインドという巨大な存在を破壊するためには、ゼラトゥルの力だけでは到底及ばなかった。タサダールは、自分が生涯を捧げて修行してきたカラの光と、新たに受け入れた虚空の闇を同時に脳裏に浮かべた。
二つのエネルギーは本質的に相反するものだったため、一つの肉体の中でこれらを融合させようとする試みは、魂を引き裂くような凄まじい苦痛を伴った。しかし、タサダールは躊躇することなく、ゆっくりと目を閉じた。彼はカラの温かく輝かしい精神ネットワークを通じてアイアーのすべての生命体と交感すると同時に、虚空の冷たく無限の深淵の中へと自らの意識を深く沈めていった。
タサダールの身体の周囲に、青い光のサイオニック・エネルギーと黒い光の虚空のエネルギーが渦巻き始めた。二つの力が衝突して放たれる圧倒的な波動に、艦橋の乗組員たちは息を呑んで後ずさりした。タサダールの両目は猛烈な光で燃え上がり、彼の精神は肉体の限界を超えて宇宙の根源的な真理に触れ、かつてないほどの力を放ち始めていた。
彼は通信網を開き、地上で死闘を繰り広げている戦友たちに最後のメッセージを送った。フェニックス、レイナー、ゼラトゥル、およびすべての騎士団員に対し、今すぐオーバーマインドの半径から離れ、安全な場所へ退避せよという命令だった。彼の声は平穏だったが、その裏には取り返しのつかない決断を下した者だけが持つ、崇高かつ悲壮な決意が深く刻まれていた。
ゼラトゥルはタサダールがやろうとしている行動の意味を瞬時に悟り、驚愕した。光と闇の力を同時に解放したまま艦船を衝突させることは、タサダール自身の存在そのものを宇宙から完全に消滅させる、恐るべき自爆を意味していたからだ。ゼラトゥルは慌てて通信を送り彼を制止しようとしたが、タサダールはすでにすべての未練を捨て去り、ただ静かに微笑むだけだった。
タサダールは自ら操縦桿を握り、ガントリサーの航路をオーバーマインドの裂けた心臓部へと固定した。艦船のメインエンジンが過負荷を起こして真っ赤な火炎を吹き出し、シールドはすでに限界値を超えて粉々に砕け散る寸前だった。しかし、タサダールは揺らぐことなく二つのエネルギーを艦の船体に集中させ、取り返しのつかない最後の一撃を静かに準備した。
「エン・タロ・アドゥン!」タサダールの荘厳な叫びが通信網を通じてアイアーの全域に響き渡った。それは故郷を救うために喜んで命を捧げる英雄の最後の挨拶であり、分裂していたプロトスがついに一つにまとまったことを宣言する勝利の賛歌だった。ガントリサーは巨大な光の槍となり、オーバーマインドの不気味な中心部に向かって猛烈に突っ込んでいった。
オーバーマインドの破滅と英雄の犠牲

ガントリサーがオーバーマインドに向かって突進する瞬間、戦場のすべての時間が止まったかのようだった。巨大なキャリアは、タサダールが放出するカラの黄金の光と虚空の深い闇に包まれ、まるで宇宙の摂理に抗う巨大な彗星のように長い尾を引いた。オーバーマインドの無数の触手が艦を阻もうと虚空をかき乱したが、融合したエネルギーの波動を前に、触れることすらできずに灰と化していった。
地上で退避していたレイナーとフェニックスは、息を呑んでその荘厳な光景を見上げた。レイナーはヘルメットのバイザー越しに眩しく燃え盛るガントリサーを見つめ、無意識のうちに拳を握りしめ、フェニックスの機械の身体は、その壮大な振動に共鳴して微かに震えていた。彼らは、一人の偉大な英雄が自らのすべてを燃やし尽くす最後の瞬間を、魂の奥深くに刻み込んだ。
ついにガントリサーの鋭い船首が、オーバーマインドの不気味に開いた外皮を突き破り、心臓部の奥深くへと突き刺さった。キャリアの巨大な船体が凄まじい破裂音を立てて歪み、砕け散っていったが、タサダールは操縦桿を離すことなく、自らの魂を絞り出して二つのエネルギーをオーバーマインドの核へと注ぎ込んだ。光と闇が、オーバーマインドの腐敗した生命力と正面から衝突し、激しくうねった。
刹那の静寂が流れた後、アイアーの地殻を揺るがす巨大な爆発が起こった。オーバーマインドの巨大な肉体が内側から膨張し、目を開けていられないほどの強烈な閃光とともに粉々に砕け散った。爆発の衝撃波が大地を席巻し、数万匹のザーグの群れを一瞬にして蒸発させ、空を覆っていた暗雲をも引き裂いて、宇宙の虚無の深淵を赤裸々に描き出した。
爆発の中心部では、カラの青い光と虚空の紫のエネルギーが巨大な渦を巻きながら空へと昇っていった。それはまるで、タサダールの魂がアイアーの大地に残す最後の祝福のようだった。オーバーマインドの恐ろしい悲鳴がサイオニック波動に乗って宇宙全域へと広がり、やがてすべてを飲み込んだ虚しい残響だけが残り、重苦しい静寂が訪れた。
閃光が収まり、土煙が静まると、オーバーマインドがあった場所には巨大なクレーターだけがぽつんと残されていた。あれほどアイアーを圧迫していた悪の根源は跡形もなく消え去り、ガントリサーの破片だけが灰色の地表に散らばって転がっていた。タサダールの気配はどこからも感じられなかった。彼はオーバーマインドとともに、永遠の沈黙の中へと完全に消え去ってしまったのだ。
ゼラトゥルは暗闇の中で膝を突き、頭を垂れた。彼はタサダールが示した崇高な犠牲に深い敬意を表し、ネラジムとカライを一つに結びつけた彼の偉大な業績を心の中で称えた。フェニックスもまたドラグーンの砲身を下げて黙祷を捧げ、レイナーは静かにヘルメットを脱ぎ、人類のやり方で偉大な戦士の安息を心から祈った。
タサダールの死は、プロトスの歴史上、最も悲劇的でありながらも輝かしい瞬間だった。彼は大議会の傲慢に立ち向かって真実を守り抜き、異質な力の間の障壁を取り払って故郷を救った。生き残った戦士たちはクレーターの周囲に集まり、英雄が残した崇高な遺産の前に熱い涙を流し、彼が示した不屈の勇気を永遠に忘れないと誓った。
傷だらけの栄光と避難の始まり

オーバーマインドは破壊されたが、勝利の代償はあまりにも惨酷だった。アイアーの輝かしかった黄金の都市は灰の山と化し、神聖な寺院は崩れ落ちて不気味な廃墟となった。生き残ったザーグの群れは指揮官を失い、制御不能な野獣のように変貌してしまったが、依然としてアイアーの大地の上でうごめき、生存者たちの命を虎視眈々と狙っていた。
若き執行官アルタニスをはじめ、生き残った騎士団員たちは廃墟の中に臨時の避難所を設け、負傷者たちを収容した。かつて数十億に達したプロトスの人口は、今や見当もつかないほど減少しており、大議会の審判官のほとんどはザーグの虐殺の中で命を落としていた。故郷を守り抜いたという喜びよりも、すべてを失ったという深い喪失感が生存者たちに重くのしかかっていた。
フェニックスは壊れたドラグーンの胴体を駆って避難民の行列を護衛し、深い嘆息を漏らした。彼は、タサダールが命を捧げて守り抜いたこの地が、もはやプロトスが生きることのできない死の惑星になってしまったという現実を痛感していた。無秩序に暴れ回るザーグの群れは絶えず防衛線を叩き、残された兵力だけではこれらをすべて防ぎきるには力不足だった。
レイナーの遊撃隊もまた、物資と弾薬が底をつき、疲弊していた。レイナーは壊れたヴァルチャーに寄りかかって煙草に火をつけ、灰色に染まったアイアーの空をぼんやりと見上げた。タルソニスを失ったときの絶望感が、この異星で再び再現されているかのようだった。彼は生き残ったプロトスの同盟軍を最後まで助けると誓いながらも、これからの旅路に心が重くなった。
沈痛な雰囲気の中、ゼラトゥルがアルタニスとフェニックスの前に歩み寄った。彼は暗闇の中で静かに光る眼差しで生存者たちを見つめ、アイアーを放棄しなければならないという残酷な真実を口にした。現在の戦力では飢えたザーグの群れに対抗することはできず、種族の滅亡を防ぐためには故郷を離れ、新たな避難先を探さねばならないという断固たる主張だった。
ゼラトゥルが提案した目的地は、ダークテンプラーの隠れ家である惑星シャークラスだった。かつて異端として追われ、追放された者たちの故郷へ避難しなければならないという事実に、一部の騎士団員たちは動揺したが、フェニックスとアルタニスはタサダールが示した和合の精神を思い出し、深く頷いた。今は古いプライドを立てている場合ではなく、一人でも多くの同胞を救い出さねばならない時だった。
次元関門(ワープ・ゲート)を通じてシャークラスへと向かう大規模な避難作戦が決定されると、生存者たちは急いで荷物をまとめ、移動を開始した。負傷した子供たちや高齢者が先にゲートの前に集まり、戦士たちは最後の防衛線を構築してザーグの接近を必死に食い止めた。アイアーの赤い夕焼けの下、輝かしかったプロトス帝国の最後の火花が静かに消えかけようとしていた。
フェニックスとレイナーは後方に残り、避難民の退路を死守することを決意した。彼らは次元関門の向こうへと消えていく同胞たちの後ろ姿を見守りながら、武器を固く握りしめた。タサダールの崇高な犠牲によって得られたこの小さな希望の種を守るため、彼らは灰と化した故郷の地で、迫り来るザーグの恐ろしい咆哮に向かって黙々と身体を向け、戦闘の準備を整えた。
コメント 1
간트리서의 마지막은 언제 봐도 가슴이 먹먹해지네요. 태사다르의 희생 덕분에 프로토스가 하나로 뭉칠 수 있었던 것 같아요. 엔 타로 태사다르! 🌌