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スタークラフト年代記 第17話:ジョイレイの酒場に戻ってきた友

この物語の目次
  1. ジョイレイの酒場の古びたジュークボックスと重い記憶
  2. 青い戦闘服とともに現れたかつての戦友
  3. バックウォーター基地の危機と遊撃隊の出撃
  4. メビウス財団の提案とエイリアンの遺物
  5. 再び regional ザーグの影と決死の脱出
  6. ハイペリオンの降下とマット・ホーナーの合流
  7. ハイペリオンの劣悪な現実と新たな契約
  8. 星々への跳躍と残された決意
  9. 確認資料

原作の出来事を基に新たに執筆されたファンフィクションです。登場人物の感情や台詞、場面の雰囲気は再構成されており、主要な結末を含んでいます。

ジョイレイの酒場の古びたジュークボックスと重い記憶

ジム・レイナーがジョイレイの酒場に一人座り、ウイスキーのグラスを前に保安官のバッジを見つめている。
ジム・レイナーがジョイレイの酒場に一人座り、ウイスキーのグラスを前に保安官のバッジを見つめている。

マ・サラの荒涼とした砂嵐がジョイレイの酒場の外壁を激しく叩き、うらぶれた音を響かせていた。明滅する古いネオンサインの光の下、埃の積もったジュークボックスからは物悲しいカントリーミュージックが絶え間なく流れていた。ジェームズ・レイナーは、誰もいない暗い隅のテーブルに一人腰掛け、半分ほど残った強いウイスキーのグラスをぼんやりと見つめていた。彼の逞しい肩は、ここ数年背負い続けてきた重い敗北感と、凄まじい喪失感によって深く押し潰されていた。

彼の無骨な指先が、テーブルの上に置かれた古びた保安官のバッジに触れた。マ・サラの保安官として働いていた頃の誇りは、とうの昔に色褪せており、バッジの冷たい金属の感触だけが、かつて自分が何かを守ろうとしていた人間だったという事実を思い出させてくれた。アークチュラス・メンスクの裏切りは彼の人生を根底から覆し、彼が信じた正義は宇宙の塵のように霧散した。レイナーは深い溜息をつき、バッジを再びポケットの奥へと押し込んだ。

酒場の片隅でノイズを立てるホログラム画面には、テラン・ドミニオンのニュース番組が流れていた。画面の中のメンスクは、特有の傲慢で堂々とした表情でレイナー遊撃隊を無慈悲なテロリスト集団だと非難し、ドミニオンの平和を脅かす者たちに慈悲はないと熱弁を振るっていた。レイナーはメンスクの忌々しい声を聞きながら、口元を歪めて冷笑を浮かべた。あの偽善的な独裁者の首を撥ねられずにいるという事実が、彼の胸を絶えず焦がし続けていた。

レイナーは残ったウイスキーを一気に煽った。食道を焼きながら落ちていくアルコールの強い刺激にもかかわらず、彼の脳裏をよぎるタソニスでの凄惨な記憶は消え去らなかった。ザーグの群れのただ中に見捨てられたサラ・ケリガンの絶望的な叫びが、今も耳元に鮮明に響いていた。彼女を救えず、自分だけが逃げ延びたという恐ろしい罪悪感は、毎夜彼を悪夢の淵へと引きずり込み、酒なしでは一時間たりともまともに眠れなくさせていた。

ケリガンだけではなかった。種族戦争の凄惨な渦中で、最も信頼できる友であり兄弟でもあったプロトスの戦士フェニックスが、彼女の裏切りによって無残に命を落とした。フェニックスの死は、レイナーの心に一生消えない巨大な傷跡と怒りを残した。戦場で散っていった者は数知れなかったが、最も高潔だった戦友を守れなかったという自責の念は、彼を絶えず苛み続けた。反乱軍を率いてドミニオンに抵抗してはいたものの、終わりの見えない絶望的な戦いの中で、レイナーの魂は徐々に枯れ果てていっていた。彼は、自分がいつまでこの重い荷を背負い続けられるのか分からなかった。

彼の視線が、テーブルの片隅に置かれた古びたリボルバーへと向かった。その銃には、ただアークチュラス・メンスクの心臓を撃ち抜くためだけに残された、たった一発の弾丸が装填されていた。レイナーは無意識に手を伸ばして冷たい銃身を撫で、シリンダーをゆっくりと回転させた。カチカチという金属音が酒場の静寂を切り裂いて響き渡った。それは、彼がまだ生きて息をしており、復讐という唯一の目的が彼を支えているという、ただ一つの証だった。

まさにその瞬間、固く閉ざされていた酒場の古い扉が、鈍い金属音を立てて開いた。重々しく巨大な足音が床を揺らしながら中へと入ってきた。外の強烈な陽光を背に浴びて立つ巨大なシルエットが、酒場の入り口を完全に塞いだ。重厚な機械音とともに放たれる圧倒的な威圧感が、一瞬にして酒場の中の空気を重く押し潰した。ただの客ではないことは、その足音一つだけで十分に伝わってきた。

レイナーはすぐには顔を上げなかった。自治領の暗殺者か、あるいは賞金稼ぎかもしれないという考えがよぎり、彼の右手は本能的にテーブルの上のリボルバーのグリップを固く握りしめた。彼は息を潜め、侵入者の次の動きを待った。巨大な影は少しの躊躇もなく、レイナーが座る暗い隅のテーブルへと向かって、重い足取りを進め始めた。機械の関節が動く鈍い音が、徐々に近づいてきていた。

青い戦闘服とともに現れたかつての戦友

AI再構成挿絵 — ジョイレイの酒場でタイカスと再会したレイナー。
AI再構成挿絵 — ジョイレイの酒場でタイカスと再会したレイナー。

侵入者が薄暗い照明の下へと姿を現した。巨大で無骨なマリーン用のCMCパワーアーマーだった。ところどころ傷つき、古びた跡が歴然とした青い装甲プレートは、この男が数々の戦場をくぐり抜けてきたことを証明していた。重厚な戦闘服に身を包んだ男は、特有の不遜で余裕に満ちた足取りでレイナーのテーブルの前まで歩み寄り、立ち止まった。戦闘服の排気口から熱い蒸気が噴き出し、焦げ臭い匂いが鼻を突いた。

「ジミー、この田舎者め。相変わらず薄暗い場所ばかり好んでいやがるな」低く、しゃがれたようなダミ声。決して忘れることのできない、あの独特のイントネーションだった。その声を聞いた瞬間、レイナーの心臓が跳ね上がった。リボルバーを握っていた彼の力強い手から、するりと力が抜けた。レイナーは信じられないといった様子で目を見開き、ゆっくりと顔を上げて、巨大な青い戦闘服の男を見上げた。

戦闘服のヘルメットのバイザーが、プシューという圧縮音とともに跳ね上がった。深い傷跡が刻まれた厳つい顔、口元に斜めにくわえられた太い葉巻、そして特有の、不敵でありながらも豪快な笑み。タイカス・フィンドレーだった。かつてレイナーと共に数々の犯罪に手を染め、最終的にレイナーの身代わりとなってニュー・フォルサム刑務所の冷たい独房に収監された、まさにその男だった。死んだか、あるいは一生監獄で朽ち果てるだろうと思っていた彼が、今、マ・サラの酒場に立っていた。

レイナーは椅子を激しく押しやって、勢いよく立ち上がった。「タイカス? お前がどうして……」衝撃と驚愕のあまり、彼の声はひどく震えていた。ニュー・フォルサムはドミニオンで最も悪名高い監獄であり、そこに入った者が生きて出てくることなど決してなかった。レイナーの脳裏には無数の疑問が複雑に絡み合ったが、今すぐ口から出たのは、息の漏れるような短い感嘆だけだった。

タイカスは葉巻の煙を長く吐き出し、豪快に笑った。「模範囚として仮釈放されたとでも言っておこう。このイカしたスーツは、出所記念のプレゼントってわけさ」彼は自分の青い戦闘服を軽く叩きながら、飄々と答えた。しかしレイナーは、ドミニオンがタイカスのような一級犯罪者を素直に釈放するはずがないことを、誰よりもよく知っていた。メンスクの支配下において、仮釈放など存在しない言葉だった。

レイナーの瞳に深い疑念が宿った。タイカスの突然の登場はあまりにも不自然であり、彼が身にまとっている最新型の戦闘服は、なおさら疑惑を煽った。しかし、数年ぶりに旧友と再会できたという安堵感と喜びもまた、偽りではなかった。レイナーは複雑な感情を抑え込み、ひとまず警戒を解いて彼を迎え入れることにした。今すぐ彼を問い詰めたところで、タイカスが素直に真実を話すようなタマではないことも分かっていた。

タイカスは重々しい音を立てて、レイナーの向かいの椅子にどっかりと腰掛けた。古びた椅子が彼の重量に耐えかねて悲鳴を上げた。彼はテーブルの上のウイスキーのボトルを掴み、空のグラスに並々と注ぐと、一気に飲み干した。「くぅー、やっぱり自由の味は格別だな」二人は短くグラスを合わせ、かつての無謀だった日々に静かな乾杯を捧げた。ほんの一瞬のことだったが、二人の間にはかつての戦友としての固い絆が流れていた。

しかし、酒場の空気は依然として張り詰めた緊張感に満ちていた。タイカスの細く鋭い眼光は、絶えず周囲を窺いながら何かを計算していた。レイナーは、タイカスが何の目的もなく自分を訪ねてくるはずがないと直感していた。この狡猾で老いた狼は、常に自分だけの隠された企みを持って動く男だった。レイナーは再びウイスキーを口に流し込み、近づきつつある嵐を静かに予感した。

バックウォーター基地の危機と遊撃隊の出撃

ジム・レイナーとタイカス・フィンドレーが、マ・サラの埃っぽい通りをレイナー遊撃隊を率いて進む。
ジム・レイナーとタイカス・フィンドレーが、マ・サラの埃っぽい通りをレイナー遊撃隊を率いて進む。

酒場の外、マ・サラの現実はレイナーの憂鬱な深淵よりもはるかに惨酷だった。街の至る所に設置されたドミニオンの巨大なホログラム電光掲示板からは、メンスクの宣伝放送が絶え間なく流れ、市民に偽りの安全を強要していた。赤い装甲服を着たドミニオンのマリーンたちは武装して埃っぽい通りを巡回し、少しでも不満を漏らす住民を容赦なく踏みにじり、抑圧していた。マ・サラは巨大な監獄も同然だった。

レイナー遊撃隊は、こうしたドミニオンの暴政に立ち向かい、ゲリラ戦を展開しながら苦しい戦いを続けていた。彼らはドミニオンの補給線を奇襲して物資を奪取し、不当に弾圧される現地の居住民を保護しながら、かめて抵抗の火種を絶やさずにいた。しかし、圧倒的なドミニオンの軍事力を前に、遊撃隊の規模と資源はあまりにも不足しており、毎日が生存をかけた凄絶な死闘の連続だった。

レイナーはタイカスに、現在マ・サラが置かれている悲惨な状況を淡々とした口調で説明した。ドミニオンはこの不毛な惑星の残された資源さえも容赦なくかき集めており、その過程で多くの無辜の住民が飢えと暴力の犠牲になっていた。タイカスは葉巻を噛み締めながらレイナーの話を聞いていたが、その表情には他人の苦痛に対する同情よりも、この混乱した状況をどう利用するかという興味だけが満ちているように見えた。

その時、酒場の扉が荒々しく開かれ、土埃にまみれた現地の民兵の一人が息を切らせて飛び込んできた。彼の目には極限の恐怖が宿っていた。「隊長! ドミニオンの奴らがまたバックウォーター基地を荒らし回っています! 今度は基地ごと完全に消し去るつもりのようです!」民兵の切迫した叫びに、酒場の中の空気が一瞬にして凍りついた。バックウォーター基地は、マ・サラの住民にとって最後に残された避難所の一つだった。

レイナーの眼光が鋭く変わった。彼はテーブルの上に置いてあったC-14ガウス・ライフルを手に取り、マガジンを荒々しく装填した。かつてマ・サラの保安官として人々を守ると誓った彼だった。たとえバッジはポケットの奥に押し込まれていようとも、虐げられる者たちの悲鳴を無視することはできなかった。彼は顎髭を乱暴に撫で、決然とした表情で酒場の扉へと歩みを進めた。

タイカスは口にくわえていた葉巻を床に吐き捨てて踏みにじり、ニヤリと笑った。「久しぶりに体を動かすとするか、ジミー? 監獄に閉じ込められていたせいで、体がなまりきってたところだ」彼の巨大な戦闘服が重々しい駆動音を立ててエネルギーを充填させた。人々の命がかかった切迫した状況だったが、タイカスの瞳は、これから始まる殺戮と破壊への原初的な渇望で輝いていた。彼は暴力を楽しむ男だった。

二人は、マ・サラの強烈な太陽光が降り注ぐ通りへと出た。連絡を受けて集結したレイナー遊撃隊の隊員たちが彼らの後に続いた。烏合の衆である志願兵や、金で雇われた傭兵たちが入り混じったみすぼらしい集団だったが、レイナーの指揮下にある限り、彼らは誰よりも勇敢な戦士だった。レイナーは隊員たちに向けて短く力強い手信号を送り、ドミニオンの兵力が陣を敷いているバックウォーター基地へと向けて、隠密かつ迅速に移動を開始した。

バックウォーター基地外郭での交戦は、短くも凄惨なほどに激しかった。ドミニオンのマリーンたちは、突然の遊撃隊の奇襲に動揺し、陣形を崩した。レイナーは遮蔽物の間を素早く移動しながら正確な射撃で敵の息の根を止め、タイカスはその巨大な体躯で敵の火網を全身に浴びながら無慈悲に突撃した。二人はまるで昨日も共に戦ったかのような完璧な呼吸を見せ、ドミニオンの兵力を外郭へと押し戻し、基地の奪還に成功した。

メビウス財団の提案とエイリアンの遺物

ジム・レイナーとタイカスがテランドミニオンの施設で光り輝くエイリアンの遺物を見つける。
ジム・レイナーとタイカスがテランドミニオンの施設で光り輝くエイリアンの遺物を見つける。

バックウォーター基地の状況がある程度落ち着き、ドミニオンの敗残兵たちが退却すると、タイカスはついに自分がマ・サラにやってきた本当の目的を口にした。彼は戦闘服の装甲についた埃を払い落としながら、ドミニオンが最近この近辺で極秘裏に発掘しているという、正体不明のエイリアンの遺物について話し始めた。それは通常の鉱物やガスとは次元の違う、計り知れない価値を持つ代物だというのが彼の説明だった。

「メビウス財団っていう、かなり金払いのいい組織が莫大な額を提示してきてな。ドミニオンの奴らが発掘しているのを、俺たちが横からかすめ取るだけの簡単な仕事さ」タイカスの声には強欲さがにじみ出ていた。彼はこの遺物を盗み出すことが、ドミニオンの裏をかくと同時に、遊撃隊の干上がった資金源を潤す完璧な機会だとレイナーを説得した。メンスクの極秘プロジェクトを台無しにできるという事実は、確かに魅力的な提案だった。

レイナーは「メビウス財団」という名がどうにも引っかかった。正体の知れない巨大組織と関わることは、常に危険を伴うものだった。しかし、今すぐ遊撃隊の武器や食料が底を突きかけている現実を無視することはできなかった。その上、メンスクがそれほどまでに心血を注いで発掘している遺物なら、それを奪うこと自体がドミニオンに大きな打撃を与えることになる。レイナーは短い葛藤の末、タイカスの提案を受け入れ、発掘基地へと向かう決断を下した。

遊撃隊はドミニオンの遺物発掘現場へと迅速に移動した。現場は予想通り、厳重な警備が敷かれていた。重厚なシージ・タンクが砲口を向け、強固なバンカーが四方を囲んでおり、正面突破は自殺行為に等しかった。ドミニオンはこの遺物を守るために相当な兵力を投入していた。レイナーは丘の上から双眼鏡で敵の配置を綿密に観察し、突破口を見出すために知恵を絞った。

レイナーは特有の戦術的直感を働かせ、兵力を二つに分けた。自身が率いる小規模な別動隊が側面の崖を迂回して敵のレーダー網を無力化する間、タイカスが正面から巨大な戦闘服と重厚なミニガンで敵の視線を引きつけることにした。作戦は見事に的中した。タイカスが咆哮しながら浴びせる無慈悲な火力にドミニオンの守備隊が翻弄されている隙に、レイナーの別動隊は防衛線を突破し、中央管制室へと侵入した。

管制室内部の巨大な隔離フィールドの中には、奇妙に輝くエイリアンの遺物の破片が宙に浮いていた。表面には解読不能な古代の紋様が刻まれており、遺物全体から放たれる青い光は、周囲の空気さえも揺らめかせていた。それはプロトスの技術に似ているようでありながら、どこか根本的に異なる異質で深遠なエネルギーを放っていた。遺物を見つめるレイナーの瞳に、複雑な感情がよぎった。

遺物に近づくにつれ、レイナーは背筋を這い上がるような不気味な寒気を感じた。説明のつかない不穏な波動が、彼の神経を尖らせた。種族戦争の際、数多くのエイリアン生命体や遺物に接してきたが、これほどまでに原初的で圧倒的な気配を放つ代物は初めてだった。彼は本能的に、この遺物が単なる金儲けの道具ではなく、宇宙の運命を揺るがしかねない危険なものであることを直感し、身震いした。

タイカスはそんなレイナーの不安など意に介さず、乱暴な手つきで隔離フィールドを解除すると、遺物の破片を自分の戦闘服のカーゴスペースへと押し込んだ。「見たか? これで俺たちの人生もおさらばさ、ジミー!」彼が勝利に酔いしれて叫んだが、レイナーの視線はすでに管制室の外へと向けられていた。警報音がけたたましく鳴り響く中、空の彼方からドミニオンの大規模な増援部隊を乗せた降下艇が、砂煙を上げて飛来していた。

再び regional ザーグの影と決死の脱出

避難中、マ・サラの宇宙港でレイナーとタイカスがザーグの群れを撃退する。
避難中、マ・サラの宇宙港でレイナーとタイカスがザーグの群れを撃退する。

ドミニオンの降下艇が着陸することすら叶わぬうちに、突如としてマ・サラの乾いた大地が微かに振動し始めた。振動は瞬く間に巨大な地震へと変わり、遊撃隊員たちの足元をすくった。空を覆っていた雲の隙間から、ドミニオンの艦船ではなく、巨大で醜悪な有機体たちが群れをなして降り注ぎ始めた。革のような翼を羽ばたかせ、奇怪な悲鳴を上げる生命体――ミュータリスクだった。

「ザーグ? こんなところで? 馬鹿な!」レイナーの口から驚愕に満ちた叫びが漏れた。彼の全身に冷たい血が逆流するような鳥肌が立った。種族戦争が終結して以来、ザーグの軍団は数年もの間、チャ惑星に引きこもり、一度も姿を現さなかった。それなのに、なぜよりによって今、この辺境のマ・サラに突如として現れたのか? レイナーの脳裏に過去の凄惨な悪夢が走馬灯のように駆け巡り、理性を麻痺させようとした。

通信網を通じて、マ・サラ全域から凄惨な悲鳴と救助要請が殺到し始めた。「助けてくれ! 化け物どもが居住区を襲ってきた!」「防衛線が突破され……うわあああ!」ザーグの奇襲的な侵攻に対して無防備だったドミニオンの前哨基地や民間人の入植地は、瞬く間に血の海へと変わっていった。通信機の向こうから聞こえてくる、肉が引き裂かれ骨が砕ける音に、レイナーは奥歯を噛み締めた。もはや遺物などに構っている余裕はなかった。

すでに遺物の回収を終え、バックウォーター基地に復帰して撤収の準備を進めていたレイナーは、突如として始まったザーグの大攻勢に直面し、直ちに全隊員へ新たな防衛命令を下した。「全員、戦闘配置につけ! ドミニオンの奴らは住民を見捨てて逃げ出すのに必死だろうが、俺たちはこの人々を守る! ハイペリオンが来るまでここで持ちこたえるんだ!」彼の声には、一歩も退かない断固たる決意が宿っていた。かつてマ・サラの保安官として人々を見捨てて去ることができなかったように、それこそが彼がレイナー遊撃隊の隊長として守るべき最後の一線だった。

タイカスは遺物を収めたカーゴスペースを叩きながら、不満げな声で不平を漏らした。「正気か、ジミー? 自分たちの命を守るだけでも手一杯だってのに、お荷物どもを連れて行こうってのか? この遺物だけ持って、今すぐここをおさらばすべきだ!」しかしレイナーは、タイカスの胸ぐらを掴みかねない勢いで近づき、彼のヘルメットを鋭く睨みつけた。「俺の仲間は俺が守る。手伝うか、それとも一人で逃げるか、好きにしろ」レイナーの殺気立った眼光に、タイカスはしぶしぶ銃を構え直した。

遊撃隊は宇宙港の周囲に防衛線を構築し、民間人たちがシャトルに搭乗する時間を稼ぐため、決死の戦闘を開始した。赤い土埃の向こうから果てしなく押し寄せるザーグリングの群れは、まるで鋭い牙と爪で構成された巨大な波のようだった。絶え間なく噴き出すガウス・ライフルの火線と、ザーグの奇怪な咆哮が入り混じり、戦場は文字通り生き地獄へと化していった。四方から血生臭い匂いが立ち込めた。

レイナーはライフルの銃身が赤く熱を帯びるまで、引き金を引き続けた。彼の目の前で、一人の民兵が地中から飛び出したヒドラリスクの棘に貫かれ、無残に命を落とした。傷だらけの戦場に飛び散る赤い血と絶望的な悲鳴は、タソニスで経験したあの日の凄惨な記憶を完璧に再現していた。罪悪感と怒りが入り混じった感情が、レイナーの胸を狂おしいほどに引き裂いていた。彼は獣のように咆哮し、ザーグに向けて弾丸を浴びせかけた。

民間人を乗せたシャトルが重々しいエンジン音を響かせて次々と空へ舞い上がり始めたが、ザーグの物量は一向に減る気配を見せなかった。遊撃隊の弾薬はすでに底を突きかけており、防衛線は至る所で崩壊しつつあった。レイナーとタイカス、そして生き残った隊員たちは、宇宙港の真ん中で完全に孤立した。四方を包囲したザーグの群れが、最後の一撃を加えるために徐々に包囲網を狭めてきていた。死の影が彼らの首を絞めつけていた。

ハイペリオンの降下とマット・ホーナーの合流

バトルクルーザー・ハイペリオンが降下し、ザーグからレイナーとタイカスを救出する。
バトルクルーザー・ハイペリオンが降下し、ザーグからレイナーとタイカスを救出する。

絶望的な防衛線がついに崩壊しようとしたその瞬間、戦場の空を覆っていた暗雲が激しく引き裂かれ、巨大な影が大地を覆った。鼓膜を破らんばかりの壮大なエンジン爆音が大気を揺るがし、ザーグの群れさえもその圧倒的な振動にたじろぎ、空を見上げた。雲を突き抜けて降下する巨大な鋼鉄の要塞、レイナー特攻隊の旗艦である戦闘巡洋艦ハイペリオンだった。その巨大な船体は太陽の光を遮り、戦場に救いの希望をもたらした。

ハイペリオンの艦首に眩いエネルギーが集中し、やがて巨大な光の柱が放たれた。ヤマト・キャノンが空中を徘徊していたミュータリスクの群れの中心に正確に突き刺さり、凄まじい爆発を引き起こした。閃光とともに数十匹のザーグ飛行体が跡形もなく蒸発し、地上へと降り注ぐ燃え盛る残骸はザーグリングの群れを直撃してパニックに陥れた。圧倒的な火力の誇示が、戦場の戦況を一瞬にして覆した。

「隊長、間に合いましたね。状況はかなり深刻なようですが」無線機を通じて聞こえてくるマット・ホーナーの声は、いつものように冷静で理性的だった。その揺るぎない声を聞いた瞬間、レイナーのこわばっていた肩から張り詰めた緊張がするりと解けていった。絶体絶命の危機において、常に自分を救いに来てくれる若く有能な艦長がいるという事実は、この地獄のような宇宙でレイナーが寄り添える唯一の救いだった。

ハイペリオンの下部ハッチが開き、数機のドロップシップが地上に向けて急降下した。降下艇は空中に留まったまま強力な援護射撃を浴びせてザーグの接近を阻み、その隙にレイナーとタイカス、そして生き残った遊撃隊員たちが迅速に船内へと身を投じた。最後の隊員が搭乗するやいなや、降下艇は火柱を吹き上げて急上昇し、間一髪でザーグの爪を逃れてハイペリオンの格納庫へと無事に帰還した。

レイナーが荒い息を吐きながらハイペリオンのブリッジに入ると、マット・ホーナーが端正な制服姿で歩み寄り、ぴしりと敬礼を捧げた。ここ数年、レイナーが失意に暮れて酒浸りになっていた間も、マットは黙々と艦を管理し、散り散りになった反乱軍を糾合して遊撃隊の命脈を保ち続けてきた真の忠臣だった。彼の真っ直ぐな瞳には、レイナーに対する変わらぬ信頼と尊敬が込められていた。

レイナーはマットの肩を軽く叩き、薄い笑みを浮かべた。「感謝する、マット。お前がいなければ、マ・サラの塵溜めで永遠に朽ち果てるところだった」マットは微かに微笑んだが、その表情はすぐに深刻にこわばった。ブリッジの大型戦術マップには、マ・サラだけでなく、隣接する複数の星系が赤い警告信号で点滅していた。それは単なる局地的な小競り合いではなく、宇宙全体に向けた大規模な侵攻を意味していた。

ハイペリオンがメインエンジンを始動させて軌道へと上昇する間、レイナーは戦術マップを凝視した。ザーグはまるで長い冬眠から目覚めた飢えた獣のように、ドミニオンの辺境の惑星を同時多発的に蹂躙していた。メンスクが誇る無敵艦隊でさえ、この突然の攻勢に為す術もなく押し戻されている状況だった。一体何がザーグを再び動かしたのか? レイナーの胸の内に、不穏な予感がとぐろを巻き始めた。

マット・ホーナーが重い口を開き、レイナーの不吉な予感を現実のものとして告げた。「刃の女王が戻ってきました。ザーグの軍団が再び彼女の統制下で動いています」その名が呼ばれた瞬間、レイナーの心臓に鋭い短剣が突き刺さるような痛みが押し寄せた。サラ・ケリガン。彼が愛し、アークチュラス・メンスクの卑劣な裏切りによってついに救い出せなかった、そして今や宇宙最悪の怪物となってしまった彼女が、ついに再び動き始めたのだ。

ハイペリオンの劣悪な現実と新たな契約

ハイペリオンの食堂でジム・レイナーが物思いに沈む中、タイカスは遺物を自慢する。
ハイペリオンの食堂でジム・レイナーが物思いに沈む中、タイカスは遺物を自慢する。

レイナーは重い足取りで艦の兵器庫へと向かった。兵器庫の扉を開けた途端、焦げ臭いオイルの匂いと溶接の火花が散る音が彼の感覚を刺激した。チーフエンジニアのローリー・スワンは、巨大な義手をウィーンと鳴らしながら、半壊したゴリアテの装甲板を剥ぎ取っていた。彼はレイナーに気づくやいなや、油汚れのついたタオルで額の汗を拭い、特有のしゃがれた声で不満をぶちまけ始めた。

「おいおい、カントリーボーイのお出ましだな! この鉄屑どもを動かすだけで、俺の腰が砕けそうだよ。部品は足りねえ、ガスボンベは空っぽ、まったくお先真っ暗だ!」スワンの愚痴は誇張ではなかった。ドミニオンの目を盗んで逃げ回る反乱軍の身の上であるハイペリオンの物資状況は、最悪の極みにあった。戦闘服は継ぎはぎだらけ、弾薬は常に不足し、艦の修理すらまともにできない慢性的な資源不足に喘いでいた。

レイナーはスワンの肩を叩き、苦笑いを浮かべた。「少しだけ辛抱してくれ、スワン。すぐに何とか解決策を見つけるから」彼は兵器庫を出て、艦の科学研究所へと足を運んだ。そこでは、変わり者の科学者エゴン・ステットマンが顕微鏡に鼻を押し付け、先ほどマ・サラで採取してきたザーグの組織標本を興奮した眼差しで観察していた。彼の周囲には、あらゆる複雑な装置やホログラムデータが乱雑に散らばっていた。

ステットマンはレイナーが入ってきたことにも気づかず独り言を呟いていたが、遅れて顔を上げると、眼鏡を押し上げて大騒ぎした。「隊長! このザーグの標本の遺伝子構造は本当に驚異的です! これらをまともに研究できれば、我が遊撃隊の武器や装甲を画期的に強化できる技術を開発できます! もちろん……その研究を進めるための莫大な資金が、今すぐ必要になりますがね」ステットマンの声は次第に小さくなっていった。

艦の食堂兼バーであるカンティーナに入ったレイナーは、苦々しい表情で周囲を見回した。そこでは、金を稼ぐために遊撃隊に加わった荒くれ者の傭兵たちが酒盛りをし、ホログラムゲームに熱中していた。メンスクの正規軍やザーグの軍団に立ち向かうためには、彼らの戦闘力が絶対的に必要だったが、彼らは十分なクレジットが振り込まれた時にしか銃を握らなかった。革命の大義名分だけでは、彼らの銃口を動かすことはできなかった。

カンティーナの一角では、タイカスが傭兵たちを集め、先ほどマ・サラで盗み出したエイリアンの遺物について大口を叩いていた。「このちっぽけな石ころ一つで、ドミニオンの巡洋艦一隻分の価値は十分にあるぜ! メビウス財団の奴らが、金を山ほど抱えて待ってるんだ!」タイカスはレイナーと目が合うと、意味深なウィンクを送った。メビウス財団が求める遺物を提供し続ければ、遊撃隊のすべての資金問題を一瞬で解決できるという、無言の圧力だった。

レイナーはバーカウンターに寄りかかり、深い苦悩に沈んだ。ドミニオンの暴政から無辜の人々を救い、再び宇宙を飲み込もうとするケリガンのザーグ軍団を阻止しなければならない。そのためには、今すぐこの古い艦を修理し、傭兵たちに支払う金を用意し、ステットマンの研究を支援しなければならなかった。革命と救済という崇高な目標を達成するために、彼は逆説的にも、最も世俗的な「金」を痛切に必要としていた。

結局、選択の余地はなかった。メビウス財団の正体が何であろうと、彼らがなぜこの危険なエイリアンの遺物を集めているのかは、今は重要ではなかった。生き残るため、そして来たるべき巨大な戦争を戦い抜くため、レイナーは喜んで悪魔と取引をするしかなかった。彼はタイカスの提案を全面的に受け入れることを決意した。それが破滅へと至る道だとしても、今彼が踏み出せる唯一の一歩だった。

星々への跳躍と残された決意

ジム・レイナーとマット・ホーナーがハイペリオンの星図を囲んで次の作戦を練る。
ジム・レイナーとマット・ホーナーがハイペリオンの星図を囲んで次の作戦を練る。

レイナーは暗い自身の船室に一人立ち、机の上に灯された小さなホログラム写真を黙って見つめていた。写真の中には、ゴーストエージェント時代のサラ・ケリガンが、赤い髪をなびかせて明るく微笑んでいた。まだザーグの醜悪な殻に閉じ込められる前、人間としての温もりを宿していた彼女の姿だった。レイナーの指先が、宙に浮かぶ彼女の顔を撫でようとしたが、冷たく空をきった。

彼は目を固く閉じ、ホログラム装置の電源を切った。船室は深い闇に包まれ、レイナーの内面を渦巻かせる凄まじい混乱と罪悪感だけが闇の中に残された。刃の女王となった彼女を止めなければ宇宙が生き残れないことは理性で理解していたが、彼の心の一角では、依然として人間としてのサラ・ケリガンを救い出したいという愚かな希望が息づいていた。この矛盾した感情が、彼を狂わせようとしていた。

しかし、今は感傷に浸っている場合ではなかった。メンスクの圧政とザーグの虐殺の中で、数多くの命が彼らの救いを待っていた。レイナーは手荒に顔を洗い、心を決めて船室の外へと出た。彼の足取りには、かつての無力感の代わりに、避けることのできない運命と正面から対峙するという確固たる決意が宿っていた。彼がブリッジに入ると、すべての乗組員が息を呑み、隊長の口から発せられる次の命令を待った。

「マット、メビウス財団が要求してきた次の遺物の位置はどこだ?」レイナーの声は、ブリッジ全体に響き渡るほど断固として力強かった。ナビゲーションコンソールの前に立っていたマット・ホーナーの瞳に、喜びと安堵がよぎった。彷徨を終え、再び立ち上がった真の指導者の姿だった。マットは即座にホログラムの星図を起動し、宇宙全域のマップをブリッジの中央に投影した。

星図の上には、まだ回収できていない遺物が隠された複数の惑星が、赤い点で点滅していた。「大半はドミニオンの防衛部隊が厳重に配置されている場所か、あるいはザーグ軍団がすでに侵攻を開始している危険地帯です。どこへ向かうにしても、決して容易な戦いにはならないでしょう」マットは戦術データを素早く分析し、懸念の混じった声で報告した。どれも命をかけなければならない険しい旅路だった。

「俺たちがいつ、楽な道ばかり選んで歩んできた、マット」レイナーはニヤリと笑って答えた。彼の瞳には、恐れを知らぬ闘志が燃え盛っていた。ブリッジの隅に斜めに寄りかかっていたタイカスが、満足そうに葉巻を噛み締めながら親指を立てた。それは、新たな狩りに向かう獣たちの黙示的な同意だった。レイナーは艦全体に響き渡る艦内放送のマイクを入れ、遊撃隊員全員に聞こえるよう声を整えた。

「全隊員に告ぐ。俺たちはもはや、単なる反乱軍ではない。ドミニオンの暴政に立ち向かって人々を救い、宇宙を飲み込もうとするザーグを阻止し、この忌々しい遺物を集めて俺たちの戦いを続けていく。メンスクも、刃の女王も、誰一人として俺たちの行く手を阻むことはできない」レイナーの演説は短かったが、絶望に沈んでいた遊撃隊員たちの胸に熱い火種を灯すには十分だった。艦の至る所から歓声が沸き起こった。

「ハイペリオン、次元跳躍の準備を。宇宙が俺たちを待っている」レイナーの最終命令が下されると、マット・ホーナーは即座にナビゲーション装置を操作した。巨大なバトルクルーザーのメインエンジンが猛烈に燃え上がり、時空を引き裂く轟音を響かせた。ハイペリオンはザーグに覆われたマ・サラの軌道を離れ、果てしない未知の深宇宙へと向けて巨大な跳躍を開始した。長きにわたる聖戦の幕が、ついに上がる瞬間だった。

確認資料

ブリザード公式 スタークラフト年代記

スタークラフト2 公式キャンペーン紹介

開発陣設定Q&A:人物と戦争の繋がり

スタークラフト2 公式ダウンロードおよびキャンペーン・ノヴァ購入リスト

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コメント 1

조이레이 술집의 낡은 주크박스 소리와 타이커스의 시가 연기까지 눈앞에 그려지는 듯하네요. 레이너의 그 무거운 어깨가 다시금 느껴지는 멋진 연대기입니다! ☕

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