スタークラフト年代記 第18話:救う方法を選ぶ者たち
この物語の目次
原作の出来事をもとに新たに書き下ろしたファン二次創作小説です。登場人物の感情や台詞、場面の雰囲気は再構成されており、主要な結末を含みます。
アグリアの炎とアリエル・ハンソン

ジム・レイナーはアグリア居住区の赤く燃え上がる空を見つめ、険しい表情で立っていた。ザーグの軍団が吐き出す胞子の雲が、かつて澄み渡っていた農業惑星の大気を濁らせて覆い尽くし、避難民たちの切迫した悲鳴が通信網を切り裂くように響き渡っていた。彼は戦闘服の埃を払う暇もなく、即座に避難命令を下し、戦線を維持しろと叫んだ。
テラン自治領の軍隊が避難民を置き去りにして撤退した後に残されたのは、絶望だけだった。レイナー遊撃隊が降下艇で降り立ったとき、アリエル・ハンソン博士は疲労困憊の表情で負傷者たちの手当てをしていた。彼女の白衣は土埃と血痕で汚れていたが、その瞳だけは人々を救うという確固たる意志で輝いていた。
ハンソン博士はレイナーを見つけるや否や、慌てて駆け寄って助けを求めた。彼女は自治領が自分たちを見捨てたという事実に怒りを覚えながらも、今は生存者たちを宇宙港まで無事に護送することが最優先だと強調した。レイナーは彼女の献身的な態度に深い感銘を受け、遊撃隊員たちに護送車両の護衛を命じた。
ザーグのザーグリングとヒドラリスクの群れが、護送隊に向けて絶え間なく猛攻を仕掛けてきた。レイナーはガウス・ライフルを握りしめて先頭に立ち、襲いかかる怪物たちを次々と倒していった。避難民を乗せた車両がガタゴトと険しい道を通り抜けるたび、彼は人々の恐怖に怯える瞳を見て、メングスクに対する怒りを再び噛み締めた。
宇宙港に到着した避難民たちは、急いで輸送船に乗り込んだ。ハンソン博士は最後の一人が搭乗するのを確認して初めて、レイナーに向かって頷いた。アグリアの美しかった自然はすでにザーグの粘膜に覆われ、無残な姿へと変わりつつあり、彼らは故郷が破壊される惨状を背に、ハイペリオンへと帰還せざるを得なかった。
ハイペリオンの居住区画は、急に増えた避難民たちで足の踏み場もないほど混雑していた。レイナーは艦内の通路を歩きながら、不安に震える人々の姿を重苦しい心境で見守った。ハンソン博士は臨時の診療所を立ち上げて患者たちの面倒を見ながら、彼らに新たな入植地を見つけてやらなければならないという重い責任感をレイナーに吐露した。
レイナーはブリッジに戻り、マット・ホーナーとともに避難民の処遇について話し合った。自治領の目を盗んで安全に入植できる惑星を見つけるのは容易なことではなかった。ホーナーは辺境の惑星ヘイヴンが、まだ適した候補地だと提案し、レイナーは避難民たちがそこで再び希望を見出せることを心から願った。
しかし、ザーグの影は彼らが考えていたよりもはるかに執拗につきまとっていた。アグリアから脱出した避難民たちの間には、すでに目に見えない恐怖の種が植え付けられていた。レイナーは窓の外の虚無の宇宙を見つめながら、この人々を最後まで守り抜くことができるのか、自らの内面に向かって静かに問いかけていた。
ヘイヴンに立ち込める感染の恐怖と浄化者

惑星ヘイヴンに到着した避難民たちは、新たな生活を始められるという希望に胸を膨らませていた。しかし、平和は長くは続かなかった。避難民の一部が原因不明の高熱と発作の症状を示し始め、それがすぐにザーグ・ウイルスによる感染という恐ろしい事実であることが判明した。居住地は一瞬にして恐怖のるつぼと化した。
ハンソン博士は絶望的な状況の中でも、治療薬を開発するために昼夜を問わず研究に没頭した。彼女は感染がまだ初期段階であり、十分な時間さえ与えられればワクチンを完成させて人々を救えると固く信じていた。レイナーは彼女の必死の努力を見守りながら、何とかして時間を稼がなければならないと心に誓った。
まさにその瞬間、ヘイヴンの軌道に巨大な影が差した。眩い黄金の装甲をまとったプロトスの艦隊が、次元跳躍を経て姿を現したのだ。艦隊を率いる執行官セレンディスはハイペリオンに通信を繋ぎ、ヘイヴンにザーグの感染が広がっていることを警告し、惑星全体を浄化するという断固たる意志を表明した。
セレンディスの声は冷徹で理性的だった。彼女はザーグの感染が人間の意志で克服できる病ではなく、ただ炎によってすべてを焼き尽くすことだけが宇宙を守る唯一の方法だと主張した。プロトスの長い経験から導き出されたその無慈悲な結論は、レイナーの胸に重くのしかかった。
ハンソン博士は通信画面の中のセレンディスに向かって激しく抗議した。まだ感染していない無辜の人々まで残らず殺すのは虐殺にすぎないと主張し、自分に治療薬を完成させる時間をくれと懇願した。しかしセレンディスは、感染の拡大速度を考慮すると一秒の猶予も許されないとして、一歩も引かなかった。
ブリッジの空気は氷のように冷たく凍りついた。レイナーはかつてタソニスでザーグの犠牲になった無数の命を思い出した。感染が手の施しようもなく広がったときに起こる惨劇を誰よりもよく知っていたため、プロトスの浄化の論理を頭ごなしに非難することはできなかった。しかし、目の前の生存者たちを見捨てることも、彼には不可能なことだった。
セレンディスは、レイナーがかつてプロトスとともに戦った偉大な戦士であることを思い出させ、彼が大義のために正しい判断を下すと信じていると付け加えた。彼女の言葉はレイナーに重い責任を負わせ、友情という名の圧力となって迫ってきた。人間の希望とプロトスの確信が衝突する軌道上で、時間は無情にも流れていった。
レイナーは固く結んだ唇を開くことができず、戦術地図を見下ろしていた。ヘイヴンの地表には、まだ命の灯火を繋ぎ止めようとしている数万の人々がいた。ザーグの恐ろしい変異プロセスとプロトスの無慈悲な浄化光線の間で、レイナーは自分だけがこの悲劇の行く末を決定づけられるという事実に身震いした。
指揮官の重みと選択の岐路

レイナーはブリッジを去り、自身の薄暗い船室に入った。古いジュークボックスから流れる哀愁を帯びたカントリー・ミュージックだけが、彼の複雑な心境を慰めていた。机の上に置かれた保安官のバッジに触れながら、彼は自分がマ・サラの時から守ろうとしていた価値が何であったのかを再び見つめ直した。命を守るということは、常に過酷な代償を伴うものだった。
彼はホログラムモニターを起動し、ヘイヴンのリアルタイムの生体反応データを確認した。赤く点滅する感染危険区域と、青く光る安全区域が乱雑に入り混じっていた。ハンソン博士から送られてきた治療薬の研究データはまだ未完成であり、成功確率を保証できない数字だけが画面を埋め尽くしていた。
セレンディスの警告が彼の耳の奥で何度も響き渡った。もしハンソンの治療薬が失敗すれば、ヘイヴンは制御不能の感染惑星となり、その責任はすべて決定を下したレイナー自身が負うことになる。無数の人々が恐ろしい怪物へと変貌し、互いを貪り食う幻影が目の前にちらつき、深い罪悪感を刺激した。
逆にプロトスの浄化を容認すれば、感染の脅威は確実に排除されるが、無辜の命もまた灰燼に帰すことになる。それはメングスクがタソニスで行った虐殺を傍観することと何が違うというのか。レイナーは拳を固く握りしめ、机を叩いた。どちらの選択をしようとも、彼の両手には消せない血が滲むしかなかった。
ホーナーが船室の扉をノックし、慎重に入ってきた。彼は、隊員たちもまた指揮官の命令だけを待っており、艦内の空気がひどく動揺していると報告した。避難民に同情する者たちと、ザーグ感染の恐怖に怯える者たちの間の葛藤が、ハイペリオンの内部でも静かに広がっていた。レイナーの沈黙が長引くほど、不安は募る一方だった。
レイナーはホーナーに苦笑いを見せた。革命を起こし、独裁者に立ち向かうことには明確な目標があったが、今のように誰も正解を知らない生死の岐路に立たされることは、指揮官として最も避けたい瞬間だった。彼は弾倉を確認し、拳銃を腰に差して、席からゆっくりと立ち上がった。
ブリッジに戻ったレイナーに向けて、すべての乗組員の視線が集中した。画面の片方には必死に両手を合わせているハンソン博士が、もう片方には決然とした意志で浄化光線を準備するセレンディスが映し出されていた。レイナーは深く息を吸い込み、自分の決定が後世の歴史にどう記録されようとも、その重みをすべて背負う覚悟を決めた。
彼は通信チャンネルを開き、二人に向かって口を開いた。これは単なる戦術的な判断ではなく、人類が極限の恐怖を前にしても希望を捨てずにいられるかという、哲学的な試練だった。レイナーの瞳には、もはや迷いはなかった。彼は自分が信じるものに向けて、引き金を引く準備を整えた。
【選択の分岐】ヘイヴンの救済、あるいは没落

ヘイヴンの運命は、レイナーが下すただ一度の決断によって、まったく異なる方向へと揺れ動く準備をしていた。もし彼がプロトスの無慈悲な浄化に立ち向かい、アリエル・ハンソン博士の信念を守ることを決意するなら、遊撃隊はかつての同盟相手であった強力なプロトス艦隊に向けて銃口を向けねばならないという、過酷な逆説を受け入れなければならなかった。
その険しい道を選ぶならば、レイナーはプロトスの浄化母船が放つ破壊的な光線を防ぐため、シールド発生装置を次々と破壊しながら、セレンディスの精鋭部隊と死闘を繰り広げなければならなかった。死闘の末に浄化母船を撃退し、居住民たちを守り抜けば、ハンソン博士は涙を流して感謝を伝え、ヘイヴンに留まっていつか必ず治療薬を完成させると誓うだろう。セレンディスもまた、レイナーの揺るぎない意志に敬意を表し、艦隊を撤退させるはずだった。
それは無謀に思えた人間性への信頼がもたらした価値ある勝利であり、避難民たちに与えられた一時的な平和だった。しかし、レイナーがその反対の道、すなわちプロトスの冷徹な理性に従うことを決意するなら、ヘイヴンの空はまったく異なる悲劇の炎で燃え上がることになる。
セレンディスの判断が正しいと認めた瞬間、プロトスの浄化光線がヘイヴンの居住地を次々と焼き尽くすのを黙認しなければならない。レイナーは感染が手の施しようもなく広がった区域に兵力を投入し、かつて自分が救出した避難民たちが恐ろしいザーグの怪物へと変貌していく様をその目で見届けながら、彼らを自らの手で射殺しなければならなくなる。
その絶望的な選択の果てに、ハンソン博士は密閉された研究室の中で一人治療薬の開発にしがみついた末、ついにザーグ・ウイルスに感染するという悲劇を迎えることになる。醜悪な感染テランへと変貌し、理性を失って咆哮する彼女と対峙したレイナーは、張り裂けるような痛みをこらえながら、自ら拳銃の引き金を引き、彼女の悲惨な息の根を止めなければならなかった。それは守れなかった約束が残した、あまりにも無残な没落だった。
セレンディスは感染を根絶したレイナーの決断力を称賛するだろうが、ハイペリオンに戻った彼の両手には、洗い流せない血の臭いだけが残る。誰もいない研究室を見つめながら感じる凄まじい罪悪感と虚無感は、彼が背負い続けなければならない永遠の刑罰となる。ヘイヴンの救済と没落は、このように決して同時に存在し得ない、相互に排他的な運命なのだ。
レイナーはこの二つの極端な未来の幻影が脳裏をよぎるのを感じ、目を固く閉じた。どちらを選んでも何かを失わなければならないという事実が、彼の心臓を冷たく凍りつかせた。指揮官の座とは、結局のところ、最も痛みの少ない悲劇を選び出す残酷な天秤にすぎなかった。
通信画面の中で、セレンディスとハンソンが彼の答えを待っていた。交差する二つの運命線の上で、レイナーはついに重い口を開いた。彼の下した決断はハイペリオンの航路を決定づけ、ヘイヴンの空はその選択の結果によって、眩い救済の光か、あるいは破滅の炎に染まる準備を整えつつあった。
闇の中の提案とガブリエル・トッシュ

ヘイヴンでの重苦しい決定が残した余韻が冷めやらぬうちに、ハイペリオンの休養室の隅で濃い葉巻の煙を吐き出しながら、ガブリエル・トッシュがレイナーを呼んだ。トッシュの赤い瞳は、いつものように底の知れない不気味な気配を湛えていた。彼は独特の低くかすれた声で、メングスクに致命傷を与える新たな計画を提案した。
トッシュは自治領の悪名高き秘密刑務所「ニュー・フォルサム」について言及した。そこにはメングスクの体制に反旗を翻した無数の政治犯や暗殺者、そして何よりもトッシュと同じ「スペクター」と呼ばれる工作員たちが、獣のように閉じ込められているという。彼は、彼らを解放すればレイナー遊撃隊にとって計り知れない戦力になると誘惑した。
スペクターは、テラジン・ガスとジョリウムを用いてゴースト工作員の潜在能力を極限まで引き上げた存在だった。レイナーはトッシュが見せるニュー・フォルサムのホログラム構造図を見ながら顎をさすった。鉄壁の警備を誇る刑務所を襲撃することは自殺行為に等しかったが、そこの囚人たちを解放すれば、自治領に巨大な混乱を引き起こすことができた。
しかし、レイナーはトッシュを完全に信頼することはできなかった。彼が合流して以来見せてきた奇妙な行動や、ブードゥー教の儀式のような迷信的な態度は、隊員たちの間でも不快な噂を生み出していた。レイナーはトッシュの目を真っ直ぐに見つめ、この作戦が単に彼の個人的な復讐や野心のためではないのかと鋭く問い詰めた。
トッシュはにやりと笑い、自分の動機が何であれ、メングスクを引きずり下ろす役に立つなら関係ないではないかと問い返した。彼は、メングスクが自分たちを怪物に仕立て上げて見捨てたのだと言い、今度はその怪物たちが主人の喉元を噛みちぎる番だと不気味に囁いた。その怒りだけは、レイナーも深く共感できる本物だった。
タイカス・フィンドレーが重い足取りで近づき、会話に割り込んできた。彼は犯罪者を解放することには賛成だが、トッシュのあの陰気な「兄弟」たちが果たして制御できるのか疑問だと鼻で笑った。タイカスの指摘通り、強力なサイオニック能力を持つスペクターたちが制御不能になれば、遊撃隊にとっても大きな脅威になり得た。
トッシュは、自分の兄弟たちはただメングスクへの復讐心だけで結ばれており、自分が彼らを完璧にコントロールできると豪語した。彼はニュー・フォルサムの防御網を無力化する具体的な戦術を説明し、レイナーに決断を促した。闇の中から差し伸べられたこの同盟の手は、甘美でありながらも致命的な毒を秘めているようだった。
レイナーは葉巻をくわえ、複雑な心境で休養室の天井を見上げた。メングスクという巨大な悪と戦うためには、時には闇の力を借りなければならないこともあった。しかし、その代償としてハイペリオンの甲板の上に制御不能の狂気を呼び込むことが、果たして正しい選択なのだろうか。彼は深い苦悩の沼に沈んでいった。
ノヴァの警告とゴーストの影

トッシュとの会話が終わった直後、ハイペリオンのメインコンピューターが突然の外部ハッキング攻撃を感知し、警告音を鳴らした。ホーナーが急いでファイアウォールを復旧しようとしたが、通信画面はすでに何者かによって強制的に占拠されていた。砂嵐のようなノイズが消え、冷ややかな金髪に鋭い眼差しを持つゴースト工作員、ノヴァ・テラが姿を現した。
ノヴァは自治領最高の暗殺者らしく、余裕を漂わせながらも冷酷な態度でレイナーに挨拶を交わした。彼女はトッシュがレイナーにニュー・フォルサム襲撃を提案した事実をすでに知っていた。ノヴァはトッシュが隠しているスペクター計画の恐るべき真実を暴露し、彼らがどれほど危険で不安定な存在であるかを警告し始めた。
彼女の説明によると、テラジン・ガスに曝されたスペクターたちは深刻な精神分裂とサイコパス的な傾向を示すようになり、最終的には敵味方の区別すらつかずに殺戮を楽しむ怪物へと成り下がるという。ノヴァは、トッシュ自身もすでにその狂気に蝕まれており、彼が兄弟たちを解放しようとする真の理由は、宇宙に血の嵐を巻き起こすためだと断言した。
ノヴァはレイナーに対し、自治領の敵という立場は一時的に脇に置き、宇宙の平和のためにトッシュの計画を阻止すべきだと説得した。彼女はトッシュがスペクターたちを訓練している秘密施設の場所を提供し、そこのテラジンとジョリウムの貯蔵庫を破壊すれば、自分が直接、自治領のゴースト訓練の機密データを遊撃隊に渡すと提案した。
トッシュの盲目的な復讐心と、ノヴァの冷徹な実用主義が、通信網を挟んで真っ向から激突した。レイナーはメングスクの忠実な猟犬であるノヴァの言葉をどこまで信じるべきか疑わしく思った。彼女が自治領の厄介者であるトッシュを排除するために、自分を利用しようとしている魂胆なのは火を見るより明らかだった。
しかし、ノヴァが転送してきたスペクターたちの臨床データと恐ろしい副作用の記録は、捏造されたものと見るにはあまりにも精巧すぎた。もし彼女の言葉が真実なら、トッシュを助けてニュー・フォルサムの囚人たちを解放することは、メングスクの暴政よりも恐ろしい災厄を宇宙に解き放つことになるかもしれない。レイナーの眉間に深い皺が刻まれた。
ノヴァは感情に流されず理性的に判断しろと言い、スペクターは決して救われることのない失敗作だと冷淡に付け加えた。通信が一方的に切断され、画面が元に戻ると、ブリッジには重苦しい静寂だけが漂った。ホーナーは、自治領の工作員と手を組むのは危険な賭けだと、慎重に懸念を示した。
レイナーは、先ほどまでトッシュが立っていた場所を黙って見つめた。ブードゥーの幻影と囁きで武装した反逆者と、冷たいサイオニック・ブレードを突きつける自治領の暗殺者。二人とも、完全に信頼することはできない影の中の存在だった。レイナーは再び、避けることのできない選択の刃の上に、自らの足を乗せなければならなかった。
【選択の分岐】スペクターの解放、あるいはゴーストの暗殺

トッシュとノヴァが提示した分かれ道もまた、レイナーに極端な決断を要求していた。もし彼が、自治領の圧政に喘ぐ者たちの怒りを代弁するトッシュの手を取ることを決めるなら、遊撃隊は厳重な警備が敷かれた自治領の一級秘密収容所「ニュー・フォルサム」の正門を正面から突破するという、無謀な作戦に突入しなければならなかった。
その道を選ぶなら、トッシュは自ら戦場に飛び込んでサイオニック能力で防御網を蹂躙し、レイナーの部隊は彼を援護しながら刑務所の門を打ち破ることになる。解放された囚人たちとスペクターは、メングスクへの復讐の叫びを上げながら遊撃隊に合流し、トッシュは彼なりのやり方でレイナーに永遠の忠誠を誓い、心強い味方として留まることになる。
しかし、レイナーがノヴァの警告を受け入れ、スペクターの暴走を未然に防ぐことを決意するなら、その刃はかつての仲間であったトッシュの心臓へと向けられることになる。遊撃隊はノヴァが提供した情報をもとに、トッシュの秘密スペクター訓練基地を襲撃し、彼がスペクターを養成するために構築したテラジン加工施設や主要拠点を徹底的に破壊する任務を遂行しなければならなかった。
この選択肢では、ノヴァは隠蔽状態で施設に侵入し、トッシュの部隊を無慈悲に暗殺しながらレイナーを助ける。結局、すべての基盤を失い怒りに震えるトッシュは、ハイペリオンでブードゥー人形を突き刺しながら呪いを吐き散らすが、ノヴァの冷たい刃によって虚しく命を落とすことになる。レイナーは自治領のゴースト技術を手に入れるが、その口の中には苦い後味だけが残るだろう。
トッシュを助ける道は、メングスクの首を狙う強力な味方を得る革命的な選択だが、制御不能の狂気を容認するという危険を孕んでいた。一方、ノヴァを助ける道は潜在的な災厄を防ぐ理性的な決断だが、結果として自治領の工作員と手を組み、仲間を死地に追いやるという道徳的な傷跡を残した。どちらを選ぼうとも、レイナーの魂には深い傷が刻まれるしかなかった。
トッシュがニュー・フォルサムのホログラムの前で狂気じみた笑みを浮かべる幻影と、ノヴァが狙撃銃を肩に担いで冷ややかに背を向ける幻影が、レイナーの目の前で交差した。どちらの手を取ろうとも、彼は誰かを裏切らねばならず、その裏切りの代償はそのままレイナー遊撃隊の業として積み重なる。戦術地図を見つめるレイナーの肩が重く落とされた。
タイカスは傍らでニヤニヤと笑いながら、どちらにせよ面白い見世物になるだろうと皮肉を言った。ホーナーは指揮官のいかなる決定にも従うと固い信頼を示したが、その瞳にも深い憂いが宿っていた。レイナーは拳銃のシリンダーをカチャカチャと回転させ、金属的な摩擦音がブリッジの静寂を鋭く切り裂いた。
スペクターの鎖を断ち切るのか、それともゴーストの影の中へと歩み寄るのか。相互に排他的な二つの作戦ファイルが、ホログラムパネルの上で点滅していた。レイナーは深く息を吐き出し、パネルに向けて手を伸ばした。彼が押すボタン一つで、宇宙を彷徨う幽霊たちの運命が根底から覆ろうとしていた。
信頼と疑念の境界に立つ者

レイナーはブリッジの透明な観測窓の向こうに広がる、果てしない漆黒の宇宙を見つめていた。ヘイヴンでの死闘、そしてトッシュとノヴァの間での綱引きは、彼に革命という名の裏に隠された残酷な現実を改めて思い知らせた。正しいことを行うということは、決して童話のように美しく明快なプロセスではなかった。
彼は手に持った古いリボルバーをいじくっていた。マ・サラで保安官として働いていた頃、この銃は法と正義を守るための単純かつ明確な道具だった。しかし、今は違った。メングスクという巨大な怪物と戦うため、彼は時には善良な人々の犠牲を天秤にかけねばならず、時には腹の底の知れない悪魔たちと手を組まねばならなかった。
ホーナーが近づき、次の目的地への航法データを報告した。ハイペリオンのエンジンが低く唸りを上げ、新たな跳躍の準備を整えていた。レイナーはホーナーの肩を軽く叩き、労いの無言の挨拶を交わした。隊員たちは指揮官の揺るぎない背中を見て安堵したが、レイナーの内面は依然として激しい嵐の中にあった。
誰を信じ、誰を疑うべきなのか。ハンソンの純粋な希望とセレンディスの冷徹な理性、トッシュの煮えたぎる復讐心とノヴァの冷酷な実用主義。そのすべての価値観がレイナーの頭の中で乱雑に衝突し、彼を苦しめていた。しかし、彼はこの苦痛に満ちた煩悶こそが、自分がまだ人間性を失っていないという唯一の証拠であることを知っていた。
もし彼が何の悩みもなく引き金を引き、命をチェス盤の駒のように扱い始めたなら、それは彼が打倒しようとしているメングスクと何ら変わらない怪物に成り下がったことを意味するはずだった。レイナーは窓に映る自分の疲弊した顔を見つめ、決してその一線を越えはしないと、再び固く心に誓った。
休養室ではタイカスが騒がしい笑い声を上げながら傭兵たちとカードゲームを楽しんでおり、武器庫ではスワンが新しい武器の設計図を見ながら愚痴をこぼしていた。この船に乗ったすべての人々は、それぞれの事情と傷を抱え、レイナーという一つの求心力のもとに集まっていた。彼は彼らの信頼を裏切るわけにはいかなかった。
レイナーは観測窓から視線を外し、ゆっくりと指揮席へと歩みを進めた。過去の亡霊たちと未来の不確実性が彼の両肩に重くのしかかっていたが、宇宙の運命を揺るがすザーグの脅威と、メビウス財団から依頼された古代遺物の秘密は、彼に立ち止まる時間を与えてはくれなかった。彼が背負う荷は依然として重く、進むべき道は闇に包まれていた。
「跳躍準備完了。指揮官、指示を」ホーナーの毅然とした声がブリッジに響き渡った。レイナーはリボルバーをホルスターに収め、前方に向けて顎を上げた。信頼と疑念の危うい境界の上で、彼はただ自分が選んだ道の結末を確かめるため、再び闇の中へと身を投じた。「出してくれ、マット」
コメント 1
핸슨 박사와 토시 사이에서 레이너가 짊어져야 했던 도덕적 무게감이 잘 느껴지는 글이네요. 혹시 연대기 다음 화에서는 레이너가 내린 선택들이 이후 히페리온 내부 구성원들의 신뢰 관계나 특공대의 전반적인 분위기에 어떤 실질적인 변화를 가져왔는지 다룰 계획이 있으신가요?