ディアブロ年代記 第21話:不死の司祭に帰ってきた死
原作の出来事を基に新たに執筆したファン創作小説です。登場人物の感情や台詞、場面の雰囲気は再構成されており、主要な結末を含みます。
血塗られた儀式と不滅の影

放浪者は乾燥平原の砂埃を荒々しく払い落としながら、ロラスと共にエリアスの足跡を追っていた。堕落したホラドリムであるエリアスは、リリスをサンクチュアリに召喚した張本人だった。彼が残した血塗られた儀式の残骸は、平原の砂嵐の中でも消え去ることなく、不快な悪臭を放ちながら不穏な気配を漂わせていた。
「奴は死なない。私がこの手で剣を突き立て、心臓を貫いたというのに、再び立ち上がったのだ」ロラスはかすれた声で呟き、折れた杖の先で地面を突いた。ホラドリムの知識を裏切り、禁じられた魔術に手を染めたエリアスは、肉体の死を超越した状態にあった。その恐るべき不滅がサンクチュアリを脅かしていた。
放浪者は血痕が途切れた祭壇を注意深く観察した。黒い血がこびりついた祭壇の上には、リリスを崇拝する狂信者たちの紋様が乱雑に刻まれていた。エリアスはリリスの権能を借りてサンクチュアリの救済を成し遂げるという歪んだ信念に完全に取り憑かれ、理性を失って暴走していた。
「彼が不滅を得た方法が何であれ、弱点は必ずあるはずです」放浪者は毅然と言い放ち、武器を握り直した。ロラスは頷きながらも、かつて自分が教えた弟子を完全に葬り去らねばならないという残酷な現実に、苦々しくも苦痛に満ちた表情を隠しきれず、ため息をついた。
二人は、エリアスが単にリリスを崇拝するだけでなく、さらに恐ろしい悪魔をサンクチュアリに降臨させようとしている手がかりを発見した。引き裂かれた羊皮紙には、苦悶の乙女アンダリエルの名が記されていた。エリアスは不滅の肉体を盾にして躊躇なく儀式の準備を進め、サンクチュアリを地獄に変えようとしていた。
「アンダリエルだと、正気の沙汰ではない。あの苦痛の悪魔が解き放たれれば、リリスが手を下す前にサンクチュアリは灰燼に帰すだろう」ロラスの瞳に深い恐怖と怒りがよぎった。放浪者は羊皮紙を握り締め、エリアスの狂気を止めなければならないという重い責任感に顎を固く引き締めた。
彼らはエリアスの次の目的地が、ケジスタンの深い砂漠の彼方にある見捨てられた宮殿であることを突き止めた。そこで彼は、アンダリエルを完全に現身させるため、強力な魂を持つ器を探していた。悪魔の降臨を阻止するために残された時間は、砂時計 of 砂のように急速に失われつつあった。
放浪者は荷物をまとめながら砂漠の地平線を睨みつけた。不死の体を持つ堕落した司祭と苦痛の乙女を同時に相手にしなければならない過酷な旅路が待ち受けていた。しかし、リリスの影がサンクチュアリを覆うのを防ぐため、彼らは躊躇することなく、激しい砂嵐が吹き荒れる砂漠の中へと足を踏み入れた。
苦痛の器となった魔女

ケジスタンの見捨てられた宮殿にたどり着くと、濃い血の臭いと共に苦悶の悲鳴が響き渡った。放浪者とロラスは崩れた柱の陰に身を潜め、儀式が行われている中央ホールへと慎重に近づいた。そこには、血に染まったローブを身にまとい、奇怪な呪文を唱えるエリアスが立っていた。
祭壇の中央では、魔女タイサが重い鉄鎖に縛られたままもがいていた。彼女の体には、アンダリエルを召喚するための恐ろしいルーン文字が赤く燃え上がりながら刻まれている最中だった。タイサは肉が焼け焦げる凄まじい苦痛の中でも、エリアスに向けて呪いの言葉を吐き散らしながら抵抗していた。
「お前の苦痛こそが、乙女様をこの地に迎える素晴らしい器となるのだ、タイサ」エリアスは青ざめた顔で微笑み、彼女の額に血に濡れた手を置いた。タイサの瞳が白く反転し、奇怪な緑色の光が放たれ始めると、ホール内の空気は急激に冷たく淀んでいった。
ロラスは、自身の古い知人であるタイサが受ける凄まじい苦痛に歯を食いしばった。「エリアス!今すぐその狂気を止めろ!」彼は潜伏場所から飛び出し、雷鳴のような怒声を浴びせた。放浪者もまた武器を抜き放ち、ロラスの傍らを固めながらホールの中央へと進み出て、エリアスに向けて殺気を放った。
エリアスは余裕のある仕草で首を巡らせ、二人を見つめた。「ロラス、老いぼれて愚かなる師よ。あなたはいつもサンクチュアリの真の救済を理解していなかった」彼が手招きをすると、ホールの闇からリリスを称える数十人の狂信者たちが武器を手に、獣のように咆哮しながらなだれ込んできた。
放浪者は狂信者たちの猛烈な攻撃を弾き返し、タイサが縛られた祭壇への道を切り開いた。剣戟が交わされ、血が四方に飛び散る最中にも、タイサの悲鳴は次第に人間のものとは思えない奇怪で鋭い金属音へと変わっていった。アンダリエルの降臨が目前に迫っていることを告げる不穏な兆候だった。
「タイサの意識が完全に呑まれる前に、鎖を断ち切らねばなりません!」放浪者は狂信者の首を撥ねながら、ロラスに向かって切迫した声で叫んだ。ロラスが魔術を編み出してエリアスの視線を引きつける間、放浪者は押し寄せる敵の攻撃を突き破り、祭壇を目指して渾身の力で猛烈に突進した。
エリアスは放浪者の接近を阻むために血塗られた障壁を築いたが、放浪者の武器に宿る猛烈な気迫がその障壁を粉々に打ち砕いた。しかし、祭壇に到達した瞬間、タイサの口から噴き出した猛毒の霧がホール全体を飲み込み、皮膚を溶かすような凄まじい悪臭を放ち始めた。
降臨せし苦痛の乙女

猛毒の霧の中から巨大な影が立ち上がった。タイサの肉体を媒介にして、苦痛の乙女アンダリエルの幻影が不完全ながらもサンクチュアリの裂け目から這い出てきたのだ。鉄鎖が絡みつく奇怪な骨と、おぞましい棘が生えた悪魔の姿が、赤い目をぎらつかせながら放浪者を残酷に見下ろした。
「苦痛を… 終わりなき苦痛を与えよう!」アンダリエルの引き裂くような声がホールを揺るがした。彼女が振るった猛毒の鎖が床を叩きつけると、石畳は一瞬にして溶け去り、致命的な毒気が噴き出した。放浪者は息を止め、鎖の軌道を辛うじてかわしながら反撃の機会を窺った。
ロラスはタイサの魂が完全に消滅するのを防ぐため、古代ホラドリムの封印呪文を唱え始めた。「放浪者!悪魔の視線を引きつけてくれ!私がタイサの意識を繋ぎ止めてみせる!」ロラスの叫びに応え、放浪者は躊躇なくアンダリエルに向かって正面から飛び込み、猛烈な闘気を放った。
放浪者の武器がアンダリエルの醜悪な脚を強打したが、悪魔は嘲笑うかのように猛毒を吐き出した。皮膚が焼けただれる苦痛の中でも放浪者は退かず、連続して打撃を加えた。悪魔の周囲に苦痛の幻影が立ち上り、放浪者の精神を蝕もうとしたが、強固な意志でこれに耐え抜いた。
エリアスは遠くからその光景を見守り、余裕を持って呪文を維持しようとしたが、ロラスの決死の妨害によって儀式の繋がりが次第に乱れていった。アンダリエルの姿が刻一刻と歪み、タイサ本来の声が途切れ途切れに混ざり始めると、悪魔の動きは目に見えて鈍くなった。
「今です!」放浪者はアンダリエルの防御が緩んだ隙を突き、最も濃い毒気が噴き出す悪魔の胸部に向けて渾身の力を込めた一撃を突き刺した。凄まじい悲鳴と共に猛毒の嵐がホールを吹き荒れ、悪魔の巨大な姿は粉々に砕け散り、濃い霧の中へと霧散していった。
轟音と共にアンダリエルの気配が消え去ると、タイサは黒い血を吐きながら床に倒れ込んだ。放浪者は慌てて駆け寄り、彼女を抱き起こした。タイサは荒い息を吐きながら辛うじて目を開けたが、苦痛の乙女が残した恐るべき後遺症により全身を激しく震わせ、極限の恐怖から抜け出せずにいた。
エリアスは儀式が失敗に終わると、怒りで顔を歪めた。「愚かな者どもめ、真の救済を拒むとは!」彼は血塗られた魔術を炸裂させて視界を遮ると、崩れゆく宮殿の残骸の中へと跡形もなく姿を消した。放浪者はタイサを守りながら、彼の卑劣な逃亡を悔しそうに見送るしかなかった。
囁きの木と沼の魔女

タイサを無事に救出した後、彼らはエリアスの不滅を打ち破る方法を見つけるため、ハウェザルの深く暗い沼地へと向かった。そこには、死者の頭部が吊るされ、知識を囁き続ける奇怪な存在「囁きの木」があった。沼の粘りつく泥が放浪者の足首を重く引っ張り、不穏さを募らせた。
沼地の奥深くで、彼らは沼の魔女ティムエに出会った。ティムエは咳き込みながら、放浪者とロラスを警戒の眼差しで見つめた。「エリアスを追う者たちか。あの傲慢な司祭は、木と恐ろしい取引をした。永遠の命を得る代わりに、己のすべてを賭けて借りを作るという取引をな」
ティムエの案内に従って到着した囁きの木は、腐った枝ごとに無数の生首をぶら下げていた。頭部たちは一斉に目をぎらつかせ、放浪者に向けて奇怪な合唱を始めた。「借りを返さぬ者… エリアス… 奴の首は我らのものだ」数百もの声が混ざり合い、脳裏に突き刺さった。
放浪者は木の圧倒的な気配にも屈せず、毅然と問いかけた。「奴の不滅を終わらせる方法を教えろ。奴がお前たちと結んだ契約には、必ず抜け穴があるはずだ」木の頭部たちは互いに囁き合い、不気味な笑い声を漏らした後、徐々に口を開いた。
「奴は己の死を肉体から切り離して隠した。海の底に沈んだ寺院、そこに奴の腐りゆく身体の一部が固く封印されている」木の声が沼地の濃い霧を切り裂き、放浪者の耳元に響き渡った。それこそが、エリアスがいくら刺されても死なない醜悪な理由だった。
ティムエは頷きながら付け加えた。「奴は己の足の指を切り落とし、恐ろしい呪術をかけた。その指が無事である限り、奴の心臓を百回貫こうとも再び立ち上がるだろう」不滅の秘密が、これほど奇怪で凄惨な身体損壊の呪術に基づいているという事実に、ロラスは舌打ちをした。
「その指を見つけ出して破壊すれば、奴も普通の人間のように死を迎えるわけだな」ロラスは古い地図を広げ、沈んだ寺院の位置を推し量った。囁きの木は、エリアスの首を自分たちに持ってくることを条件に、彼らに寺院への道を開き、奇怪な笑みを浮かべた。
放浪者は木との不穏な取引を胸に刻みながら、沼を後にした。永遠の命という虚しい欲望に取り憑かれ、己の肉体さえも切り刻んだエリアスの最期が近いことを直感した。彼らは遅滞なく、海の底に沈んだ古代の寺院を目指し、決然とした表情で歩みを早めた。
寺院に隠された不滅の秘密

海水がうねる海岸の崖の下、忘れ去られた古代寺院の入り口がぽっかりと口を開けていた。寺院の内部は湿気と塩気に満ちており、壁面にはエリアスが己の死を封印するために描いた血塗られたルーン文字が不気味に光り、侵入者を拒む不穏な気配を放っていた。
放浪者とロラスは寺院の奥深くへと慎重に進んだ。腐敗した海の怪物たちや、エリアスが残した血のゴーレムたちが立ちはだかったが、放浪者の猛烈な武力の前に次々と倒れ、泥の中に沈んでいった。絶え間ない戦闘の末、ついに彼らは最も深い聖所へと到達した。
聖所の中央には黒い水が溜まった壺が置かれており、その周囲には幾重もの強力な保護魔術が振動していた。「あの中に奴の死が収められているのだな」ロラスは杖を掲げ、魔力の流れを分析しながら言った。壺の中には、奇怪にミイラ化した足の指が浮いており、赤い光を放っていた。
放浪者が壺に近づくと、エリアスが仕掛けた罠が発動し、強力な怨霊たちが悲鳴を上げながらなだれ出てきた。怨霊たちは放浪者の精神に侵入し、恐ろしい幻影を見せようとしたが、放浪者は強固な意志で幻影を振り払い、武器を振るって己を縛りつけようとする怨霊たちを切り伏せた。
「ロラス、保護魔術を解除してください!」放浪者の叫びに応じ、ロラスは古代ホラドリムの呪文を唱え、壺を包む結界を無力化し始めた。結界が揺らぎ、魔術の光が衰える隙を突いて、放浪者は躊躇なく壺に向けて武器を強く振り下ろし、打ち砕く準備を整えた。
ガシャンという破裂音と共に壺が粉々に砕け散り、腐った水が床にこぼれ落ちた。その中から転がり出た醜悪な足の指を、放浪者は重いブーツの足で容赦なく踏み潰した。骨が砕ける鈍い音と共に、恐ろしい悲鳴が寺院全体に響き渡り、壁面が激しく揺れた。
指が破壊された瞬間、遠く離れた場所にいたエリアスの肉体にも致命的な衝撃が加わったことは明白だった。聖所を満たしていた血塗られたルーン文字が一斉に光を失い、黒い灰となって虚空へと散っていった。エリアスを支えていた不滅の鎖が、ついに永遠に断ち切られた歴史的な瞬間だった。
「これで奴も死から逃れることはできない。普通の凡夫に戻ったのだ」ロラスは安堵のため息をつき、砕け散った残骸を見下ろした。放浪者は武器を収め、固い決意を胸に秘めた。今こそエリアスを見つけ出し、彼が犯したすべての悪行と殺戮に対する恐るべき代償を支払わせる番だった。
凡夫の悲惨な最期

不滅を失ったエリアスは、ハウェザルの深い沼地の外縁に位置する古い砦に逃げ込み、身を潜めていた。放浪者とロラスが砦の門を打ち破って踏み込んだ時、エリアスは黒い血を吐きながら、リリスの彫像に向けて自分を救ってくれと絶望的かつ悲惨な祈りを捧げていた。
「あり得ん… 私の偉大な過業がこのように終わるはずがない!」エリアスは振り返り、憎悪に満ちた声で叫んだ。彼の青ざめた顔には、かつての傲慢さと余裕は影も形もなく、迫り来る死への極限の恐怖と狂気だけが満ち溢れ、両目は赤く充血していた。
「貴様の不毛な妄想もここまでだ、エリアス」ロラスが冷徹な声で宣告した。放浪者は武器を構え、エリアスの息の根を止めるためにゆっくりと近づいた。窮地に追い込まれたエリアスは、残されたすべての生命力を振り絞って血塗られた魔術を暴発させ、最後の悪あがきを始めた。
エリアスの指先から放たれた赤い稲妻が放浪者を襲った。放浪者は身を翻して攻撃をかわすと、砦の崩れた柱を蹴って跳び上がり、エリアスの肩を深く切り裂いた。赤い血が宙に舞い、エリアスは獣のような苦悶の悲鳴を上げてよろめいた。
「私はサンクチュアリを救う者だ!母なるリリス様だけが我らを導くことができるのだ!」エリアスは狂ったように笑い、床に溜まった己の血を媒介にして巨大な血の棘を召喚した。鋭い棘が四方から突き出し、放浪者の退路を断って息の根を止めようと迫ってきた。
放浪者は棘の隙間を縫うようにして、致命的な打撃を次々と命中させた。不滅を失ったエリアスの肉体は、放浪者の重い攻撃に耐えきれず、ズタズタに引き裂かれていった。放浪者の強力な一撃がエリアスの胸を真っ直ぐに貫くと、彼の口から黒い血がどっと溢れ出た。
エリアスは信じられないという風に、己の胸に突き刺さった武器を呆然と見下ろした。「母よ… 奴らを… 罰したまえ…」彼は虚空に向けて血に染まった手を伸ばし、膝から崩れ落ちた。彼の肉体が床に叩きつけられる鈍い音と共に、砦を包んでいた不穏な気配は完全に消え去った。
放浪者は荒い息を整えながら、倒れたエリアスの遺体を冷ややかに見下ろした。数々の悪行を働き、サンクチュアリを危機に陥れた堕落した司祭の最期は、あまりにも悲惨で哀れなものだった。ロラスは無言で歩み寄り、かつての弟子であった者の死を静かに見つめ、深い感慨に浸った。
永遠の囁きの刑罰

放浪者はエリアスの遺体から首を切り落とし、重い袋に収めた。囁きの木と結んだ契約を履行するためだった。血が滴る袋を手に再び沼地を横切る間、沼の霧は彼らの歩みを急がせるかのように物寂しく揺らめき、不気味な音を立てていた。
囁きの木に到着すると、吊るされた頭部たちが一斉に歓声を上げ、奇怪な笑い声を響かせた。「借りを返しに来たな。臭うぞ… 傲慢な司祭の腐りゆく血の臭いが」木の太い枝が、まるで飢えた手を伸ばすかのように放浪者に向けて曲がりくねり、不気味な音を立て始めた。
放浪者は袋を解き、エリアスの生首を泥だらけの地面に荒々しく投げ捨てた。首は死の恐怖が凍りついた表情のまま転がっていった。木の根がうごめきながら這い上がり、エリアスの首を固く巻きつけると、木のうつろな枝の上へと容赦なく引き上げ、しっかりと固定した。
枝に吊るされたエリアスの首が、突如として両目を見開いた。「嫌だ!私はリリス様に選ばれし者だ!このような腐った木に吊るされるわけにはいかない!」死してなお安息を得られないエリアスの魂が、引き裂かれるような悲鳴を上げて抗ったが、枝は彼をさらに強く締めつけるだけだった。
他の頭部たちがエリアスを嘲笑い、くすくすと笑った。「永遠の命を望んだのだろう?これからは我らと共に永遠に囁き続けるのだ、傲慢な者よ」木の力がエリアスの首に染み込むと、彼の悲鳴は次第に苦痛に満ちた金属音へと変わり、その瞳は絶望で黒く染まっていった。
放浪者はその恐るべき光景を冷ややかな目で見つめた。己の野望のために他者の命を踏みにじり、悪魔と手を組んだ者にふさわしい、最も完璧で残酷な結末だった。契約は履行され、エリアスは死よりも過酷な永遠の苦痛の中に閉じ込められ、沼地の一部と化してしまった。
囁きの木は満足げに葉を揺らしながら、放浪者に語りかけた。「借りは清算された。お前たちの道を行くがよい、凡夫よ。地獄の門が待っているぞ」木の警告は、エリアスの死が終わりではなく、これから訪れるさらなる脅威の始まりに過ぎないことを暗示していた。
ロラスはエリアスの首から視線を外し、重い体を巡らせた。「行こう。奴の罪の代償としては、あれで十分だ。我々にはまだ、阻止せねばならぬ真の敵が残されているのだから」放浪者は頷き、囁きの沼を後にして、地獄へと向かうための重い足取りを黙々と進めた。
地獄への決意

エリアスの脅威が去った後、放浪者とロラスはタルサラクに設けられた臨時の隠れ家へと帰還した。そこでは、ドナンがやつれた顔で彼らを待っていた。ヨリンを失った悲しみが今なお彼の肩に重くのしかかっていたが、その眼差しだけは復讐心で鋭く輝いていた。
「エリアスは片づけたのか?」ドナンが尋ねると、ロラスは短く頷いた。「囁きの木に吊るされ、永遠に囀り続けることになった。残るはリリスだけだ」その名が口にされると、隠れ家の空気は重く沈み込み、三人の間に息詰まるような緊張感が漂い始めた。
リリスはすでに地獄へと至る門を開く準備を整えていた。彼女が地獄の力を完全に吸収するのを許せば、サンクチュアリが取り返しのつかない破滅を迎えることは明白だった。放浪者は机の上に地図を広げ、リリスを追跡する経路を指し示しながら、今後の計画を細かく議論した。
「我々自身が地獄へ入らねばなりません。あそこでリリスを止められなければ、すべてが終わりです」放浪者の決然とした声に、ドナンとロラスは重い沈黙で同意を示した。凡夫の身で悪魔たちの巣窟である地獄に足を踏み入れることは、恐るべき自殺行為に等しかった。
「ソウルストーンの調整はほぼ終わっている。リリスを封じるには、完璧なタイミングが必要だ」ドナンは懐から微かに光るソウルストーンを取り出しながら言った。彼の指先は微かに震えていたが、息子の命を奪った悪魔たちへの復讐を誓う彼の意志は、何よりも強固だった。
ロラスは古い剣を砥石で研ぎながら、来たるべき戦闘を黙々と準備した。「ホラドリムの最後の任務が地獄への進軍とはな、ティラエルが見たら呆れ果てるだろう」彼の自嘲気味な冗談の中には、迫り来る死への恐怖よりも、サンクチュアリを守らねばならないという強迫観念にも似た使命感が滲んでいた。
放浪者は自身の防具を点検し、武器の刃を鋭く研ぎ澄ました。エリアスを打ち破った勝利 of 余韻はすでに消え去り、地獄の硫黄の臭いが鼻先をかすめるような、息詰まる圧迫感が押し寄せていた。彼らは互いの目を見つめ合い、最後になるかもしれない固い決意を交わした。
「準備が整い次第、出発しましょう。地獄の門でリリスが我々を待っているはずです」放浪者は武器を背負い、先頭に立った。ドナンとロラスが険しい表情でその後に続き、サンクチュアリの運命を懸けた三人の、絶望的でありながらも偉大な旅路が幕を開けようとしていた。
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