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ディアブロ年代記 第12話:ハロガスが守りし最後の山

この物語の目次
  1. バールの北部侵略とハロガスの絶望
  2. 血の丘のシェンク討伐と捕虜救出
  3. アンヤ救出とニーラサックの致命的な裏切り
  4. アリアット山頂の三人の古代人と試練
  5. ワールドストーンの間とバールの恐るべき汚染
  6. 破壊の魔王バールとの最後の決戦
  7. ティリアルの降臨と取り返しのつかない汚染
  8. ワールドストーン破壊と新時代の幕開け
  9. 確認資料

原作の出来事をもとに新たに執筆されたファンフィクションです。登場人物の感情や台詞、場面の雰囲気は再構成されており、主要な結末を含みます。

バールの北部侵略とハロガスの絶望

ハロガスの雪の降る中庭で、マーラが負傷したバーバリアンを治療し、クアル=ケクが地平線を見つめています。
ハロガスの雪の降る中庭で、マーラが負傷したバーバリアンを治療し、クアル=ケクが地平線を見つめています。

冷たい北風がアリアット山脈の荒涼とした峰々を叩き、激しい吹雪を巻き起こしていた。ハロガスの巨大な防壁の前には、バール率いる悪魔の軍勢が残した凄惨な破壊の爪痕がそのまま残されていた。英雄が辛うじて辿り着いたバーバリアンたちの最後の要塞は、深い絶望と血生臭い匂いに満ちていた。

傭兵隊長クアル=ケクは、城壁の向こうから立ち上る黒煙を見つめながら荒い息を吐き出した。彼の顔には、同胞を失った悲しみと悪魔への煮えたぎる怒りが深く刻まれていた。彼は異邦人の英雄を警戒しつつも、この絶望的な戦況を覆す一筋の希望かもしれないと考えていた。

広場の片隅では、治癒師マーラが傷ついたバーバリアンたちの凄惨な傷を黙々と治療していた。彼女のしわの刻まれた手つきは温かかったが、その瞳には迫り来る終焉への深い恐怖が宿っていた。マーラは英雄の手を握りしめ、アリアット山の祝福があらんことを切実な声で祈った。

ラルズックの鍛冶場からは、武器を鍛える重々しい槌の音だけが冷たい空気を切り裂いて響き渡っていた。彼は悪魔たちに包囲されて命を落とした兄弟たちの復讐を誓い、昼夜を問わず鉄を溶かし、刃を研ぎ澄ませていた。ラルズックは英雄に、自身が作り上げた最も鋭い武器を手渡し、血の復讐を託した。

偵察兵たちが息を切らして駆け込み、バールの本隊がすでに山の中腹を越えて城塞へと進軍しているという絶望的な知らせをもたらした。防壁を叩く投石機の轟音が、地震のように村全体を揺るがした。人々の顔に暗い影が差し、クアル=ケクは険しい表情で盾の紐を固く締め直した。

長老たちが皆命を落とした中、唯一生き残ったニーラサックだけが、広場の隅から冷ややかな視線で彼らを見つめていた。彼は英雄の登場すら無意味なあがきだと嘲笑し、不快感を隠そうとしなかった。村人たちは彼の冷淡な態度に、得体の知れない違和感を抱いていた。

英雄は、固く閉ざされた巨大な木製の城門を開け、吹雪が吹き荒れる戦場へと赴くことを決意した。クアル=ケクは英雄の決然とした眼差しを受け止め、ついに城門を開き、血の丘の危険性を重々しく警告した。悪魔たちの血で赤く染まった山道が、英雄の歩みを待ち受けるかのように口を開けていた。

骨を刺すような寒さの中、英雄は武器を固く握りしめ、ハロガスの防壁の向こうへと第一歩を踏み出した。吹雪の向こうから、奇怪な咆哮を上げながら迫り来る悪魔たちの影が無数に揺らめいていた。サンクチュアリの運命をかけた最後の戦いが、険しいアリアット山脈の傾斜地でついにその残酷な幕を開けた。

血の丘のシェンク討伐と捕虜救出

雪に覆われた血の丘で、燃え盛る投石器に囲まれながら英雄が監督官シェンクと戦っています。
雪に覆われた血の丘で、燃え盛る投石器に囲まれながら英雄が監督官シェンクと戦っています。

血の丘に足を踏み入れると、凄まじい硫黄の臭いとともに、肉の焦げる悪臭が立ち込めていた。山肌の至る所では、巨大な攻城投石機が燃え盛る岩をハロガスの城壁に向けて絶え間なく放ち続けていた。悪魔の軍勢は、終わりが見えないほど山道を埋め尽くして進軍を続けていた。

戦場のただ中で、冷酷な監督官シェンクが棘付きの鞭を振るい、手下たちを残酷に駆り立てていた。彼の巨大で醜悪な巨体は戦場の恐怖そのものであり、鞭が空を切り裂くたびに凄まじい破裂音が響いた。シェンクは英雄を見つけると、奇怪な笑い声を上げて突進してきた。

英雄とシェンクの激しい戦闘が、雪に覆われた丘の上で始まった。シェンクの巨大な鞭が吹雪を切り裂いて襲いかかり、英雄は間一髪で身をかわして致命的な一撃を避けた。武器と魔法が激しく衝突して四方に火花が散り、周囲の手下たちさえもその余波で吹き飛ばされた。

シェンクは痛みを知らない獣のように猛烈な攻撃を浴びせてきたが、英雄の冷静かつ鋭い反撃によって次第に傷を負い始めた。黒い血が雪原を汚し、シェンクの動きは目に見えて鈍くなっていった。英雄は敵の隙を見逃さず、すべての力を振り絞ってシェンクの急所へと武器を突き刺した。

致命傷を負ったシェンクは苦悶の悲鳴を上げ、その巨体をよろめかせた。彼の体が崩れ落ちる瞬間、抑え込まれていた爆発的なエネルギーが四方へと放出され、強烈な光を放った。周囲を取り囲んでいた悪魔の手下たちまでもが、その凄まじい爆発に巻き込まれ、跡形もなく灰と化してしまった。

シェンクを倒した英雄は、戦場の奥深くで鋭い木杭に囲まれた粗末な檻をいくつか発見した。その中には、バールの軍勢に捕らえられ、凄惨な拷問を受けていたバーバリアンの戦士たちが閉じ込められていた。寒さと飢えに疲れ果てた彼らの瞳には、それでもなお屈しない闘志がかすかに燃えていた。

英雄は一撃で檻の扉を破壊し、囚われていた戦士たちを解放した。足枷を外されたバーバリアンたちは英雄に深い感謝を伝え、地面に落ちていた武器を拾い上げて復讐の雄叫びを上げた。彼らは悪魔たちの包囲網を突破してハロガスへと戻り、再び防壁を守り抜くという決然たる意志を燃え上がらせた。

救出された戦士たちが無事にハロガスへと帰還すると、固く閉ざされていたクアル=ケクの心もついに開かれた。彼は英雄の勇気と力を心から認め、自身の最も優秀な部下たちを快く英雄の傍へと送り出した。ハロガスの住民たちは、ようやくこの異邦人の中に本物の希望の光を見出すことができた。

アンヤ救出とニーラサックの致命的な裏切り

英雄が凍てつく川でマーラの解凍の薬を使い、魔法の氷の牢獄からアンヤを解放しています。
英雄が凍てつく川でマーラの解凍の薬を使い、魔法の氷の牢獄からアンヤを解放しています。

英雄が村に戻ると、マーラが周囲を気にしながら密かに近づいてきた。彼女は、長老の娘アンヤが数日前から行方不明になっており、ニーラサックがこの件に深く関わっているという強い疑念を打ち明けた。マーラは英雄の手を必死に握りしめ、凍てつく川を捜索してアンヤを見つけてほしいと懇願した。

英雄はマーラの頼みを受け、骨まで凍みる極寒を突き進み、凍てつく川へと足を運んだ。水晶のように輝く氷の洞窟の中には、凶暴なウェンディゴや氷の怪物たちが侵入者を狙って潜んでいた。英雄は待ちぶせしていた怪物たちの猛攻を退けながら、滑りやすい氷の上を進み、洞窟の奥深くへと進んでいった。

洞窟の最深部、巨大な氷柱の真ん中に閉じ込められているアンヤを、ついに発見した。彼女の体は魔法の氷に固く縛り付けられており、青ざめた唇の間からは苦しげな呻き声だけがかすかに漏れていた。英雄が武器で氷を砕こうとしたが、ニーラサックの呪われた魔法はびくともしなかった。

英雄は急いで村に戻ってマーラに状況を伝え、マーラは自ら調合した強力な解凍の薬を手渡した。再び凍てつく川へと戻った英雄が薬を氷柱に注ぐと、奇怪な音とともに魔法が解けた。アンヤは荒い息を吐きながら、冷たい地面に崩れ落ちるようにして解放された。

気力を取り戻したアンヤは、震える声でニーラサックの恐るべき裏切りを暴露した。彼がハロガスを救うという名目でバールと密かに取引を交わし、それに反対した自分をこの氷の牢獄に閉じ込めたのだという。アンヤの瞳には、裏切り者への怒りと、故郷を失うかもしれないという恐怖が交錯していた。

最も衝撃的な事実は、ニーラサックが古代人の遺物である「長老の遺物」をバールに渡してしまったことだった。その遺物により、バールは古代人の試練を経ることなくアリアット山の防壁を迂回し、ワールドストーンへと向かうことができた。サンクチュアリの最も重要な防衛線が、内部の裏切りによって虚しくも突破されてしまったのだ。

アンヤが英雄に支えられてハロガスへと生還すると、村の広場は凄まじい衝撃と怒りで沸き立った。自身の罪悪が露見したことを悟ったニーラサックは、すでに卑怯にも村を抜け出し、「苦痛の殿堂」へと逃亡した後だった。住民たちは裏切り者の名を呪い、英雄に彼を成敗してほしいと懇願した。

英雄はアンヤが開いたポータルを通り、ニーラサックが潜む暗い寺院へと侵入した。アンデッドの軍勢を召喚して抵抗したニーラサックだったが、最後は英雄の圧倒的な力の前に悲惨な最期を遂げた。裏切り者を成敗した英雄は、遅滞なくバールの足跡を追い、アリアット山の頂上へと歩みを急いだ。

アリアット山頂の三人の古代人と試練

アリート山頂で、古代の三人の黄金の霊魂――タリック、コーリック、マドックが目覚め、英雄を試しています。
アリート山頂で、古代の三人の黄金の霊魂――タリック、コーリック、マドックが目覚め、英雄を試しています。

アリアット山の頂上へと続く道は、険しい水晶の通路や氷河の道が複雑に絡み合っていた。古代の氷の中に閉じ込められていた悪魔たちが目覚めて英雄の行く手を阻み、鋭い氷柱が短刀のように降り注いだ。英雄は身を切るような寒さと悪魔たちの血生臭さの中を、黙々と突き進んだ。

長く苦しい登山の末、英雄はついにアリアット山の頂上に位置する「古代人の道」に到達した。雲を突き抜けてそびえ立つ荘厳な祭壇の周囲には、サンクチュアリの歴史を見守ってきた神聖な気配が重々しく漂っていた。吹き荒れる風の音だけが、誰もいない山頂の静寂を破り、英雄の耳元をかすめていった。

祭壇の中央には、伝説的な三人のネファレム、タリック、コーリック、マドックの巨大な石像が威風堂々と佇んでいた。彼らは長きにわたりワールドストーンへと続く門を守り、資格なき者の立ち入りを拒んできたアリアットの先祖たちであった。石像から放たれる圧倒的な気迫が、英雄の息を詰まらせた。

英雄が天上の祭壇に手を置き、古代人の儀式を始めると、天から落雷が轟き、石像たちが命を宿した。石の殻を破って立ち上がった三人の先祖たちは、黄金の闘気を放ちながら英雄に向けて武器を構えた。彼らの深く響き渡る声が山頂を揺らし、試練の始まりを告げた。

英雄の資格を証明するための激しい死闘が、雲に覆われた山頂で繰り広げられた。タリックの旋風が吹雪を切り裂いて襲いかかり、コーリックは巨大なハルバードを手に空中から恐るべき速度で跳躍攻撃を仕掛けてきた。マドックの鋭い斧が死角を突き、英雄を極限の危機へと追い詰めた。

三人の古代人が繰り出す完璧な連携攻撃に、英雄は全身が引き裂かれるような苦痛を味わわねばならなかった。しかし英雄は決して退かず、これまでくぐり抜けてきた数々の戦闘経験を活かして敵の攻撃をかわし、反撃を繰り出した。血と汗が凍りつく極寒の中でも、英雄の闘志はむしろさらに熱く燃え上がった。

猛烈な戦闘が絶頂に達した瞬間、ついに三人の古代人が同時に武器を収めて後退した。彼らは英雄の強靭な意志と優れた武力を心から認め、再び黄金の石像へと戻る前に深い敬意を表した。アリアットの先祖たちが、ついに英雄にワールドストーンへと進む資格を与えたのだ。

固く閉ざされていたワールドストーン城塞の巨大な鉄門が、重々しい摩擦音を立ててゆっくりと開き始めた。先祖たちの魂は、バールがすでに遺物を利用して城塞内部に侵入したことを警告し、サンクチュアリの運命を英雄に託した。英雄は深く息を吸い込み、闇が潜む城塞の内部へと重い一歩を踏み出した。

ワールドストーンの間とバールの恐るべき汚染

巨大なワールドストーンが保管室に浮かび、バアルの脈動する赤と黒の触手によって深く汚染されています。
巨大なワールドストーンが保管室に浮かび、バアルの脈動する赤と黒の触手によって深く汚染されています。

ワールドストーン城塞の内部は、すでにバールの恐るべき堕落によって腐敗し始めていた。大理石の壁を伝って粘り気のある悪魔の血脈が流れ落ち、空気中には息を吸うことすら困難な猛毒の気配が満ちていた。英雄は暗闇の中で不気味に光る悪魔たちの赤い瞳を警戒しながら、慎重に下へと降りていった。

城塞の奥深く、「破壊の王座」に到達すると、バールが召喚した地獄の手下たちが次々と押し寄せてきた。フォールン・シャーマンのコレンゾ、アンデッド・メイジのアックメル、血のバルトゥク率いる評議会員たち、そして地獄のヴェノム・ロードであるヴェンタールなど、強力な悪魔の群れが英雄を八つ裂きにせんと襲いかかった。英雄は血に染まった武器を絶え間なく振るい、破壊の魔王が差し向けた軍勢を一体ずつ討ち果たしていった。

バールは王座に傲慢に腰掛け、英雄が手下たちと死闘を繰り広げる姿を見つめながら、奇怪な嘲笑を浮かべていた。彼は恐ろしい幻影や呪いを浴びせ、英雄の精神を蝕もうとしたが、英雄の確固たる意志が揺らぐことはなかった。バールの笑い声が止むたびに、王座の周囲の空気が重苦しく沈み込んだ。

ついに、最も強力な手下である「ミニオン・オブ・ディストラクション」の群れが英雄の足元に倒れた。巨大な恐竜のような姿をした悪魔たちが断末魔の叫びを上げて息絶えると、バールは動揺を隠せない様子で立ち上がった。彼は英雄との直接対決を避け、背後にポータルを開いてワールドストーンの間へと逃げ込んだ。

英雄は遅滞なく、バールが開いた血色のポータルへと身を投じ、ワールドストーンの間へと猛追した。ポータルの向こうの空間は、サンクチュアリの物理法則が崩壊したかのように、奇怪で幻想的なエネルギーが渦巻いていた。英雄は武器を握り直し、サンクチュアリの心臓部で待ち受ける破壊の魔王に向けて、ゆっくりと歩み寄った。

間の中心には、巨大な山脈ほどもある巨大な結晶「ワールドストーン」が宙に浮き、神秘的な光を放っていた。それは天界と地獄の目を盗んでサンクチュアリを創造し、人間の潜在能力を抑制してきた太古の遺物であった。英雄はその圧倒的な大きさと荘厳さに一瞬息を呑み、ワールドストーンを見上げた。

しかし、畏敬の念も束の間、巨大な結晶の表面はすでにバールが這わせた赤黒い触手によって無残に覆い尽くされていた。堕落のエネルギーが脈打つようにワールドストーンの心臓部へと染み込んでおり、澄んでいた光は濁った血の色へと変質しつつあった。サンクチュアリ全体を汚染する破滅の種が、すでに深く根を下ろしていたのだ。

バールはワールドストーンに自身の堕落した力を注入しながら、英雄に向けてゆっくりと振り返った。彼の背中から伸びる蜘蛛のような脚が虚空を威嚇するように蠢き、破壊の魔王が放つ殺気が間全体を圧迫した。サンクチュアリの運命を決める最後の決戦が、堕落しゆくワールドストーンの前で幕を開けた。

破壊の魔王バールとの最後の決戦

英雄がバアルに致命傷を与え、その怪物のような肉体が混沌のエネルギーとともに爆発しています。
英雄がバアルに致命傷を与え、その怪物のような肉体が混沌のエネルギーとともに爆発しています。

破壊の魔王バールとの最終決戦は、まさに地獄の光景そのものだった。バールが手を振るうと空間が裂け、破壊的な魔法の波動が英雄に向けて猛烈に降り注いだ。英雄は地面を転がって致命的な攻撃を回避し、隙を突いてバールの醜悪な肉体に向けて強力な一撃を放った。

危機に陥ったバールは、自身と瓜二つの幻影の分身を召喚し、英雄の視界を攪乱した。二体のバールが同時に強力な魔法を放つと、間全体が爆発音で振動し、崩壊するかのように激しく揺れ動いた。英雄は降り注ぐ攻撃の中で本物のバールを見つけ出すため、感覚を極限まで研ぎ澄ませた。

地面からは猛毒を帯びた悪魔の触手が絶え間なく這い出し、英雄の足元を狙った。バールが放つ凍てつく波動を浴びた英雄は、身体が硬直する苦痛の中でも決して武器を手放さなかった。ワールドストーンが放つ血色の閃光の下、英雄と悪魔の凄絶な死闘が果てしなく続いた。

英雄は骨が砕けるような痛みに耐えながら、バールの攻撃パターンを見破った。分身が霧散する一瞬の隙を突き、英雄はすべての気力を振り絞ってバールの本体へと稲妻のごとく突進した。英雄の武器がバールの厚い外殻を貫き、破壊の魔王の心臓の奥深くへと致命的な一撃を突き刺した。

バールの口から、天地を揺るがす凄まじい悲鳴が沸き上がった。致命傷を負った彼の肉体は、もはや破壊のエネルギーを制御できず、奇怪に膨れ上がりながら崩壊し始めた。黒い血と猛毒が四方に飛び散り、バールは苦悶に身をよじりながら、床へと無残に倒れ伏した。

制御を失った破壊のエネルギーが暴走し、バールの身体は眩い光とともに粉々に砕け散った。凄まじい爆発が間を席巻した後に残されたのは、大悪魔の残骸が黒い灰となって舞い散る光景だけだった。英雄は血まみれになりながら荒い息を吐き、バールが完全に消滅したことをその両目で確認した。

メフィスト、ディアブロに続き、ついに最後に残された大悪魔、破壊の魔王バールまでもが英雄の足元に屈した。長い悪夢のようだった地獄の侵略を阻止した英雄の顔には、勝利の歓喜よりも深い疲労が滲んでいた。しかし、この偉大な勝利にもかかわらず、間の中に漂う不穏な気配が消え去ることはなかった。

英雄が息を整えて顔を上げると、目の前に広がる光景が再び絶望を呼び起こした。バールは死んだが、彼がワールドストーンに注入した堕落の触手は止まることなく、結晶の心臓部へと伸び続けていた。サンクチュアリを守るための戦いには勝利したが、サンクチュアリの根源はすでに手遅れな病に侵されていたのだ。

ティリアルの降臨と取り返しのつかない汚染

AI再構成挿絵 — 汚染されたワールドストーンを破壊するために剣を掲げるティリアル。
AI再構成挿絵 — 汚染されたワールドストーンを破壊するために剣を掲げるティリアル。

その時、虚空から眩い天上の光が瞬き、大天使ティリアルが間の中心へと降臨した。彼の巨大な光の翼が暗い空間を明るく照らし、荘厳な気配が周囲の邪悪な力を退けた。ティリアルは倒れたバールの残骸を見下ろし、英雄が成し遂げた偉大な勝利を心から称えた。

大天使は、凡人の身でありながら三人の大悪魔をすべて打ち倒した英雄の勇気に深い敬意を表した。地獄の魔王たちがすべて敗れ去ったことで、サンクチュアリはついに永遠の破滅の危機から脱したかのように見えた。ティリアルの称賛を聞いた英雄は、重い武器を下ろし、ようやく安堵の息を漏らそうとした。

しかし、ティリアルの視線が赤く染まりゆく巨大なワールドストーンへと向けられると、大天使の顔を覆うフードの奥に深い絶望が影を落とした。光の翼が不安げに揺らめき、間の空気は冷たく凍りついた。ティリアルは沈痛な足取りで歩み寄り、汚染された結晶の表面にそっと手を置いた。

ティリアルは、ワールドストーンの心臓部にまで達したバールの堕落を推し量り、深い嘆息を漏らした。破壊の魔王が残した毒気は、すでにサンクチュアリの根本的な構造を歪めてしまうほど致命的に広がっていた。大天使の力をもってしても、この巨大な汚染を浄化し、元に戻すことは不可能であるという絶望的な判断が下された。

ワールドストーンをこのまま腐敗するに任せれば、地獄の力がサンクチュアリ全体へと広がり、すべての生命体を悪魔へと変貌させてしまうことは明白だった。人間の魂は堕落し、世界は地獄の永遠の植民地へと成り下がる危機に瀕していた。ティリアルは、天界とサンクチュアリの法を超える、悲痛かつ極端な決断を下さねばならなかった。

ティリアルは英雄の方を向き、重く断固とした声で青天の霹靂とも言える真実を告げた。地獄の完全な侵略を阻み、サンクチュアリを救うためには、すでに汚染されたワールドストーンを完全に破壊する道しかないというのだ。それは、サンクチュアリが創造されて以来、一度として想像すらされなかった恐るべき選択だった。

英雄は、ワールドストーンが破壊されればサンクチュアリに何が起こるのかを問うように、揺れる瞳で大天使を見つめた。ティリアルは、自分自身すらその結果を知ることはできず、世界が根本から変わってしまうだろうという重い警告を残した。しかし、このまま滅亡を待つわけにはいかないため、彼は喜んで破壊者としての汚名を背負うことを決意した。

ティリアルは英雄に赤いポータルを開き、爆発が起こる前に急いで安全な場所へと退避するよう指示した。英雄は、サンクチュアリの運命を決める大天使の崇高かつ悲劇的な決断の前に、黙ってうなずいた。英雄は最後に堕落したワールドストーンを振り返り、ポータルの向こうのハロガスへと足を進めた。

ワールドストーン破壊と新時代の幕開け

ティリアルが自身の剣エル=ドルインでワールドストーンを粉砕し、アリート山を崩壊させる大爆発を引き起こしています。
ティリアルが自身の剣エル=ドルインでワールドストーンを粉砕し、アリート山を崩壊させる大爆発を引き起こしています。

英雄が重い足取りでポータルを通り、ハロガスの広場へと帰還すると、村人たちが押し寄せて勝利の知らせを尋ねた。英雄はバールが倒れたことを告げたが、その表情には喜びの代わりに、迫り来る巨大な変化への恐怖が宿っていた。クアル=ケクとマーラは、英雄の沈黙の中にただならぬ気配を感じ取っていた。

同じ頃、ワールドストーンの間に一人残されたティリアルは、巨大な堕落の結晶の前に立ちはだかった。彼は天上の正義を象徴する自身の剣「エルドルイン」を、ゆっくりと虚空へと掲げた。大天使の決然たる意志とともに、エルドルインの刃の上へと、目が眩むような純白のエネルギーが嵐のように集まり始めた。

天上の光が剣の先に凝縮され、暗く濁った間全体を眩しく照らし出していった。ティリアルはサンクチュアリの安寧のため、自ら禁忌を破る苦痛に耐えながら、剣に宿るエネルギーを極限まで引き上げた。彼の背後に広がる光の翼が巨大な波動を起こし、ワールドストーンの堕落した気配と正面から衝突した。

ティリアルは持てるすべての力を込め、眩く輝くエルドルインを堕落したワールドストーンの中心に向けて力強く投げ放った。天上の剣が空を切り裂いて飛び、結晶の心臓部を深く貫いた瞬間、時間が止まったかのような長い静寂が間を包み込んだ。やがて、ワールドストーンの内部から抑え込まれていた凄まじいエネルギーが臨界点を突破し、眩い光を放ちながら膨張し始めた。

鼓膜を破るような大轟音とともに、サンクチュアリを支えてきた巨大なワールドストーンは数万の破片となって粉々に砕け散った。堕落の力と天上の光が絡み合って暴走し、間の壁を突き破って外へと噴き出した。ティリアルの姿さえも、その圧倒的な光の嵐の中に跡形もなく呑み込まれ、消え去ってしまった。

アリアット山の頂上から巨大な光の柱が天へと突き抜け、凄まじい大爆発が起こった。数千年にわたり雪に覆われた威容を誇ってきたアリアット山の上部が、火山が噴火するかのように猛烈に崩壊し、空が赤く裂けた。巨大な山脈が崩れ落ちる振動は、ハロガスのみならずサンクチュアリ全体を揺るがした。

ハロガスの住民たちと英雄は広場に立ち、自分たちの霊峰が崩れ落ちる恐ろしくも驚異的な光景を見つめていた。バーバリアンたちは故郷の喪失を悲しみながらも、地獄の脅威が去ったという事実に畏敬の念を抱き、膝を屈した。英雄は降り注ぐ火の粉の中で、ティリアルの犠牲とサンクチュアリの未来を静かに祈った。

数千年にわたり人類を抑制し、保護してきたワールドストーンが完全に破壊されたことで、サンクチュアリは永遠に変貌を遂げた。天界と地獄の目を遮っていた帳が取り払われ、人間の内面に眠っていたネファレムの力が再び目覚める準備を整えた。未知の危険と新たな希望が共存する時代が、灰色の空の下で幕を開けようとしていた。

確認資料

「ディアブロ1」公式マニュアル

Blizzard公式年代記:トリストラムの悲劇

公式クエスト資料:「ディアブロ2」Act 1

公式クエスト資料:「ディアブロ2」Act 2

公式クエスト資料:「ディアブロ2」Act 3

公式クエスト資料:「ディアブロ2」Act 4

公式クエスト資料:「ディアブロ2」Act 5

「ディアブロ1」公式購入先:GOG

「ディアブロ2:リザレクテッド」公式購入先:Battle.net

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