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NieR年代記 19 — 9Sの目と倒した敵たちの記憶

この物語の目次
  1. 9Sの目で見直す戦争、倒した敵たちの記憶
  2. 1. 剣の代わりにバケツを持つ小さな体
  3. 2. 海岸の工場の反対側にいた9S
  4. 3. ボーヴォワールが自分の体を変えた過程
  5. 4. 王国が赤子に託した記憶
  6. 5. 巨人の大きさでも耐えられなかった孤独
  7. 6. 知ればすぐに変われるのか
  8. 資料と確認範囲

9Sの目で見直す戦争、倒した敵たちの記憶

ネタバレについて:Bルートの開始、ハッキング時の視点、ボーヴォワールの記憶、森の王国とグリューンの過去を扱います。Bルートは、Aエンディングのあとで同じ事件が世界の中でもう一度すべて起こる新たな戦争ではありません。以前の時間を別の視点から見せ直し、情報を補っていく構成です。

廃墟の都市に立つ二人のアンドロイドと小さな機械で、人間のいない世界を表したAI制作の象徴的な挿絵。公式画面や特定の事件の再現ではありません。
廃墟の都市に立つ二人のアンドロイドと小さな機械で、人間のいない世界を表したAI制作の象徴的な挿絵。公式画面や特定の事件の再現ではありません。

1. 剣の代わりにバケツを持つ小さな体

Aエンディングを見たセーブデータで物語を続けると、最初に操作するのは2Bでも9Sでもない。小さな機械生命体が動き出す。そのそばには動かない別の機械がおり、小さな機械は相手を兄と呼んでいる。兄を再び動かすため、オイルを見つけて運ぼうとしているのだ。つい先ほどまでイヴを倒し、仲間を失って取り戻した物語から、名もない敵のように見えていた小さな体の営みへと視点が移る。

その小さな体でオイルを運ぶのは、思ったより難しい。バケツを探し、液体を入れ、戻らなければならない。ところが、いつものアンドロイドのように障害物を軽く跳び越そうとすると、オイルがこぼれてしまう。通れると思ったわずかな高さが、今度は大きな妨げになる。プレイヤーは素早く走って目標を片づける習慣をいったん止め、この機械が持つ体で戻れる道を探さなければならない。

バケツを持つフリードリヒにとって大切なのは、兄のアウグストが再び起き上がることだ。兄がなぜ動かないのかを正確に知り、完璧な修理計画を実行している専門家ではない。自分なりに知っている方法で助けようとしている。オイルを一度こぼせば、面倒な道を戻らなければならない。だが、その行動を諦めれば、兄のためにできると信じていることも止まってしまう。

フリードリヒがオイルを運んできて注いでも、兄は起き上がらない。小さな体が信じ、繰り返した助けは、壊れた兄を蘇らせる結果には結びつかない。その姿を9Sが見る。彼は機械同士に兄弟という関係があることを受け入れない態度を示す。プレイヤーはすでに、その小さな体でゆっくり歩き、兄のもとへ戻ろうとしていた。しかし場面に入ってきた9Sは、その試みを外から眺めている。彼が冷ややかに語る相手は、つい先ほどまでプレイヤーが動かしていた存在だ。9Sが敵について持っている説明と、別の体で行った小さな行動が、冒頭からぶつかり合う。

2. 海岸の工場の反対側にいた9S

その後、操作は9Sへ移る。時間は2Bとの海岸工場での作戦に戻るが、二人が初めて出会うまで、彼がどこで何をしていたのか、その側の道筋を見ることになる。スキャナー型の彼は、現場の装置や敵を解析し、ハッキングする。2Bが仲間を失いながら工場の内部を突破していたあいだにも、別の位置で情報を得て支援する戦闘員が動いていたのである。

9Sは2Bと同じ方法だけで戦うわけではない。物理的な攻撃も行うが、敵のシステムに入り込み、制御を崩す能力が重要な手段となる。プレイヤーは敵の体を狙っていたところからデータ空間に入り、障害物や防御を突破する。ハッキングに成功すれば敵を爆発させたり、条件によってはその体を別の形で操作したりできる。同じ機械の姿が、破壊する標的にも、一時的に借りられる体にも変わる。

ハッキングは、戦闘を早く終わらせる技術としてだけ使われるのではない。体の外からは見えなかった記録へ接近する道も開かれる。2Bの視点では攻撃の形や声だけを見聞きして通り過ぎた相手にも、その行動に至るまでの時間があったとわかる。原因を知ったからといって、すでに起きた戦いの被害や死が取り消されるわけではない。ただ、プレイヤーがその結果を受け止めるときに持つ情報が変わる。

ブラックボックスの爆発とバンカーでの再会も、この視点の中でつながっていく。9Sが2Bの記憶を先に送り、自分の直近のデータを十分に送れなかった選択は、相手を知らないふりをするための演技ではない。同じ場面の前後を9S側から見てこそ、なぜ彼の記憶がつながらなかったのかが理解できる。2Bが覚えている経験を、そのときの9Sにそのまま返す方法がなかったという空白が残る。

3. ボーヴォワールが自分の体を変えた過程

遊園地でボーヴォワールと再び戦うと、今度は彼女が美しさを得ようとした記憶が具体的に開かれる。彼女は誰かに愛されたがっており、その方法を美しい姿に求めた。他の機械から聞いた考えや、人間に関する資料をたどり、自分の外見を変えていく。美しさとは何かという完成された答えを、初めから持って舞台に立っていた存在ではなかった。

彼女は宝石や装飾品を手に入れ、体を飾る。危険を冒して品物を得る途中で体が傷ついても、その努力をやめない。アンドロイドを食べれば美しくなれるという噂にもすがり、他の機械まで食べる。自分が感じる不快さに耐えながら、それも美しさのための努力として続け、歌まで覚える。しかし、そのすべての変化が相手の心を得る結果にはつながらない。自分を変える力があるからといって、他者の関心も同じ方法で変えられるわけではない。

サルトルへの期待が崩れるほど、彼女はさらに多くの変化を重ねていく。ついに舞台で見た巨大な体には、得たかったまなざしと、最後まで得られなかった関係がともに残る。Aルートでは、その体は危険な敵だった。死の間際にありながらブラックボックスの信号が残るアンドロイドまで捕らえ、誘い出すための餌や攻撃に使っていた。Bルートはその危険を消すことなく、彼女がなぜあの体になったのかを後から見せる。

ここで、愛されたいという気持ちと他者を傷つける行動を、ひとまとめにして正当化することはできない。彼女に傷つけられ、利用されたアンドロイドにも、それぞれの生があった。すでに死んだ者だけの問題ではなく、まだ生きている体も苦痛の中で捕らわれていた。彼女が求める一つのまなざしを得るために、それらの体が手段として使われたのである。一方で、彼女の苦しみを意味のない出力の誤りとして片づけてしまえば、敵を倒してから初めて開かれた記憶を読んだ経験も残らない。ゲームは、その二つの事実を同時に抱えさせる。

4. 王国が赤子に託した記憶

森の王国へ再び向かう道には、機械たちが共同体を築いていた過去が加わる。王エルンストと彼に従う者たちは、その土地を自分たちの場所として暮らしを続けてきた。二人の兵士の前で盾と槍を構えていた兵士たちは、最初から完成済みの城や軍隊に配置された、名もない部品としてだけ存在していたのではない。今の忠誠の手前には、ともに生きてきた歴史がある。

最初の王がいなくなったあと、残された機械たちは、その記憶を次の存在へつなごうとした。小さなイマヌエルを王として立て、守る行為には、失った相手を覚え続けたいという思いがある。彼が最も高い権力を持つべき理由は、体の大きさや今の戦闘能力だけで決まるものではない。大切なのは、その小さな体が受け継ぐべきだと彼らが信じた過去だった。

だから、王を守るという兵士たちの言葉は、最初の訪問時とは違う重さを持って響く。彼らが守ろうとしているのは、目の前の一つの指揮命令だけでなく、自分たちの共同体が続いていく未来でもある。A2が王室で剣を突き下ろすと、その約束の対象は一瞬で消える。プレイヤーはすでに同じ死を一度見ているが、二度目には、そこへ至るまで待ち続けてきた兵士たちの時間も知っている。

その背景を知ったからといって、A2がなぜ機械たちを殺してきたのかという過去が消えるわけではない。仲間を失ったアンドロイドが、自分の敵とみなす存在の未来を壊す場面なのだ。互いが自分たちの喪失を理由に刃を取れば、相手の側には新しい喪失が生まれる。『Replicant』であとからマモノの記憶を知ったときのように、行動はもう終わっているのに、その行動への理解が遅れて追いついてくる。

5. 巨人の大きさでも耐えられなかった孤独

水没都市のグリューン戦も、Bルートでは9Sの仕事を追いながら進む。彼は2Bの砲撃を助け、パスカルによる救援のあとは、ミサイルを確保するために別行動を取る。最初の視点では相手が成功したという結果として聞いていた支援が、今度は自分で接近し、道を切り開く過程になる。二人が離れていた戦闘時間にも、もう一方の任務は続いていた。

グリューンを倒したあとには、寓話のような形で、その存在の過去が付け加えられる。巨人は力をうまく扱えず、味方にまで被害を与え、ついには他の機械から切り離されて海に捨てられた。巨大な体は、一人で何もかもできる全能さにはつながらなかった。近くにいる者を傷つけてしまう力のために、まず一緒にいられる場所を失ったのである。

その中には、母を呼び、帰る場所を探す孤独が残っている。ここでは、彼が呼ぶ母を特定の人間の女性や、すでに登場した誰かに確定しない。物語で明らかなのは、捨てられた存在が海の底で世話と応答を求めても、その声が届かないということだ。プレイヤーが最初に見たのは、海上の部隊を壊し、二人の兵士の体を脅かす兵器だった。あとから語られる話は、その被害を消さないまま、その兵器にも他の存在から捨てられた過去があったと伝える。上から見下ろせば巨大な標的だった体の中に、もっと小さな子供の心になぞらえられる喪失が入ってくる。

フリードリヒのバケツから始まり、森の王とグリューンへ続く場面は、すべて同じ形をしているわけではない。ある者は兄を起こそうとし、ある者たちは先に死んだ王の記憶を新たな体に託し、ある者は自分の力のために帰る場所を失う。機械たちが繰り返す人間の言葉は、それぞれ異なる関係や事件の中で使われている。それを知ったプレイヤーには、敵という大きな分類よりも、個々の失敗や願いが残る。

6. 知ればすぐに変われるのか

こうした記憶をさらに見ても、9Sがすべての機械を自分の仲間とまったく同じように扱い始めるわけではない。彼はなおヨルハの兵士として任務を果たし、機械を敵とする説明を用いる。目で見た事例と身についた判断は、同じ速さでは変わらない。より多くの情報に触れられる能力があるだけで、自分の偏見や所属からすぐ自由になるわけでもない。

プレイヤーの情報と人物の情報も、完全には一致しない。挿入された場面を見たからといって、2Bと9Sが現場ですべてを相手に説明し、同じ理解に合意したことにはならない。二人の視点の外で展開される記憶もあれば、9Sだけが接近できるシステムもある。以前ともに進んだ道を歩き直すあいだに、情報の違いはかえってはっきりしていく。

特に水没都市で二人が離れたあとは、その差が大きくなる。2Bは仲間の体を探し、工場から脱出するが、9Sは捕らわれた意識とバンカーのシステムを通じて、別の情報に触れる。同じ目標へ向かってともに戦う二人が、常に同じ真実を知ったうえで同じ決断をしているとは限らない。ある事実は口に出す前に次の事件が来てしまい、ある疑問は所属する組織そのものと衝突する。

Bルートの次の重要な発見は、敵の記憶だけではない。機械を解析してきた9Sは、自分が属するヨルハと、人間がいるとされる月の体制にも接近する。敵が信じた神や王、兄弟の関係を読んできた彼のもとに、今度は、自分たちがそのために戦うと教えられた存在が実際にはどんな状態にあるのかを問う情報が届く。戦争の向こう側を知る営みが、いまや自分たちの側の中心へと入り込んでいく。

資料と確認範囲

ゲーム版Bルートで追加される操作視点と機械の記憶を中心とする解説です。ボーヴォワールの記録は、ゲーム内の読み物を事件の原因と結果として新たに説明し、文章は転載していません。王国の過去の挿入場面はBルートの追加視点であり、第14回で成立の背景をあわせて説明した構成と、実際に情報が公開されるルートを区別しています。グリューンの過去も、初訪問時の二人の兵士がすべての説明を同時に聞いたとは書いていません。AI補助による編集記事であり、原作の台詞、歌詞、小説本文は転載していません。資料確認:2026-10-18。

NieR:Automata — Steam

Friedrich — NieR Wiki

Memories of a Songstress — NieR Wiki

Immanuel — NieR Wiki

Grün — NieR Wiki

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